セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(機能性疾患)

タイトル 消P-622:

慢性便秘546例の検討

演者 宇野 良治(時計台記念病院・消化器センター)
共同演者
抄録 著者は2008年に便秘外来を開設以来1200人以上の新患患者の診療を行ってきた.今回,一定期間内の連続した症例を集計し以下について分析した.また,アントラキノン系下剤(以下ア系下剤)よる下剤中毒の頻度とその影響についても考察した.【方法】便秘(回数減少,排便困難)で2010年7月から12月に便秘外来を受診し,2ヶ月以上経過観察しえた患者(546人)を対象とし1)性差,2)平均年齢と年齢構成,3)病悩期間,4)3ヶ月間以上ア系下剤を服用している頻度と下剤の種類と服用期間,5)注腸造影所見の分類(1910年代~1960年代の文献を参考に痙攣性と弛緩性に分類し,両者の性格を有すものを混合性と定義した)とその頻度,6)大腸内視鏡検査でのメラノーシス(以下M)の有無および程度,7)defecographyによる直腸瘤,アニスムスの有無を調査した.【結果】1)男性104人(20%),女性は4倍の442人(80%)で女性が多い.2)平均年齢は女性49.9(8~88)歳,男性65.4(5~83)歳で男性が高齢である(p<0.01).男性の年齢構成は60歳以上が多く,女性は日本の人口構成比率に一致して二峰性分布で30歳代と60歳代に多い.3)病悩期間は女性17.3年,男性15.1年で有意差なし.4)ア系下剤の服用は全体の63.4%で,センナ74%,ダイオウ18%,アロエ1%の順で,これらの併用あるいは混合薬の服用は7%だった,服用期間に有意差なし.服用率の年齢層による差なし.5)男女共に痙攣性と弛緩性の両者の所見を有す混合性が多く,それを除くと女性は弛緩性,男性は痙攣性が多かった.また,混合性はア系下剤の長期服用者に多かった.6)Mはア系下剤服用の97%にあり,沈着程度は複合剤,アロエ,センナ,ダイオウの順で強い.7)女性患者の42%に直腸瘤あり,アニスムスと共にビザコジルの服用既往者に多い.【結語】明治時代から結腸性の慢性便秘は弛緩性と痙攣性に大別されてきたが,今回の検討では両者の性質をもつ混合性の便秘が多く,両面を考慮した治療が必要.また,ア系下剤の長期使用で便秘が難治化するの危険性が危惧されるためア系下剤の規制が望まれる.
索引用語 慢性便秘, 下剤中毒