セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(機能性疾患) |
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タイトル | 消P-623:過敏性腸症候群の経時的治療効果に関する検討 ---単一医師によるVASscale質問票を用いた解析--- |
演者 | 松嶋 成志(東海大・消化器内科) |
共同演者 | 鈴木 孝良(東海大・消化器内科), 中島 貴之(東海大・消化器内科), 藤澤 美亜(東海大・消化器内科), 内田 哲史(東海大・消化器内科), 白倉 克也(東海大・消化器内科), 五十嵐 宗喜(東海大・消化器内科), 小池 潤(東海大・消化器内科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】過敏性腸症候群(IBS)は本邦においては10-15%もの有病率があり、QOL低下や労働生産性の低下など多くの障害を来すとされ、その治療は大きな問題となっている。しかしながら、本患者が一般医家、消化器専門医から十分な治療を受けていないことも多く経験される。一因として、通常行われる本疾患治療での経時的な症状の変化と有効性が明らかでないことが想定される。今回、我々はVASscale質問票を初診時より用いて、単一の医師により治療および経過観察したので報告する。【方法】2010年4月より2012年2月まで、筆頭演者医師が初診したIBS症例中、同医師再診にて継続的に経過観察できた26例を対象とした。通常、2-3週に1回の外来とし、抗コリン薬、ポリカルボフィルを中心に、酸化マグネシウム、漢方製剤、ロペラミド、ラモセトロン等を適宜用いた。腹痛や排便の状況等につきVASscaleを用いた質問票を用い、最大のつらさを100とした場合、0-25を軽度、26-50を中等度、51-100を重度として重症度を評価した。【成績】対象は26例(男11、女15、42.2±19.9歳(平均±SD))。初診時重症度は中等度3例、重度23例であり、再来回数は1-15回(メジアン4回)。中等度の3例はいずれも軽度に移行することなく診療終了となった。重度23例中、中等度へは19例(82.6%)、軽度へは15例(65.2%)が移行した。移行までの再診回数は中等度へは1-7回(メジアン2回)、軽度へは1-6回(メジアン4回)であった。経過中、症状増悪がみられた4例中、3例は再び軽快した。【結論】一般的治療により、重度患者の8割以上にある程度の軽快が、また、2/3近くにかなりの軽快が期待できる。また、通院は後者でより多くを必要としたが、6-7回の再診回数以内での達成が可能であった。本データでの一般性には問題があるが、今後、本疾患治療への認識を広め、多施設での評価につなげていきたいと考えている。 |
索引用語 | 過敏性腸症候群, 治療 |