セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)1

タイトル 消P-626:

当院における虚血性腸炎の検討

演者 吉原 靖典(JR東京総合病院・消化器内科)
共同演者 松本 裕太(JR東京総合病院・消化器内科), 奥新 和也(JR東京総合病院・消化器内科), 八木岡 浩(JR東京総合病院・消化器内科), 大前 知也(JR東京総合病院・消化器内科), 赤松 雅俊(JR東京総合病院・消化器内科), 岡本 真(JR東京総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】虚血性腸炎の臨床的特徴を明らかにするため,当院で経験した虚血性腸炎症例を検討した.【方法】2006年4月から2011年12月に行った下部消化管内視鏡検査11946件のうち,虚血性腸炎と診断した54例を対象とした.症例の年齢,性別,基礎疾患,発症の時期や時間などについて検討した.【成績】全体54例の平均年齢は55.1歳であり,49歳以下の若年者が20例(37%)であった.性別は,男性20例(37%),女性34例(63%)と女性が多かった.しかし,年齢階層別に女性の割合をみると,49歳以下50%(男:女=10:10),50-64歳61%(7:11),65歳以上81%(3:13)であり,若年層では男女差がなく,高齢になるほど女性が増えていた.高血圧症,糖尿病,脂質異常症など何らかの動脈硬化関連疾患を有する症例は,全体でみると25例(46%)であった.年齢階層別にみると,動脈硬化関連疾患を有する症例は,49歳以下で10%(2/20),50-64歳で50%(9/18),65歳以上で88%(14/16)と,高齢になるほど増えていた.腹部手術歴は44%(23/52)に認められ,排便習慣については67%(26/39)に便秘を認めた.発症時期に関して季節性変動は少なく,50歳以上に限っても明らかな季節性は認められなかった.発症時刻に関して,腹痛は18-24時の発症が46%(23/50)と最も多く,下血は0-6時の発症が56%(30/54)と最も多かった.【結論】虚血性腸炎は高齢者に多い疾患とされているが,若年発症例も少なからず存在する.若年者では男女差は少なく,高齢になるほど女性の割合が増加した.発症要因として動脈硬化などの血管側因子と便秘などの腸管側因子が関与しているとされるが,若年者は動脈硬化の関与は少なく,腸管側因子が強く関与していることが示唆された.発症に季節性は乏しかったが,発症時間では,夜間に腹痛で発症し,深夜から早朝に下血を見る例が多かった.
索引用語 虚血性腸炎, 虚血性大腸炎