セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)1

タイトル 消P-627:

虚血性大腸炎において性差はあるか?

演者 若林 直樹(大津市民病院・消化器内科)
共同演者 岩井 直人(大津市民病院・消化器内科), 森田 幸弘(大津市民病院・消化器内科), 小木曽 聖(大津市民病院・消化器内科), 土井 俊文(大津市民病院・消化器内科), 藤井 恒太(大津市民病院・消化器内科), 高田 龍介(大津市民病院・消化器内科), 高谷 宏樹(大津市民病院・消化器内科), 益澤 明(大津市民病院・消化器内科), 松本 尚之(大津市民病院・消化器内科), 高見 史朗(大津市民病院・消化器内科), 片岡 慶正(大津市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】虚血性大腸炎は、日常診療でよく遭遇する良性疾患である。発症病態の観点からは、動脈硬化や便通異常などといった生活習慣の影響が大きいといわれている。これまでもどちらかというと女性に多い疾患とも言われてきたが、性差の有無も含めその関与については未だ明らかではない。本研究では、本疾患に性差があるか否かを明らかにすることを目的とした。【方法】2011年1月より2011年12月まで約1年間に、当施設にて、下部消化管内視鏡検査を施行し、虚血性大腸炎と診断した51症例のうち、発症エピソードの明らかな42症例を対象とした。性、年齢、発症月、発症時間、初発か否か、併存疾患、便秘の有無、内服薬を検討項目とした。【成績】女性が32症例、男性は10症例と圧倒的に女性に多かった。年齢では、40歳未満に7症例あるものの60歳以上80歳未満に半数の21症例を占めた。年間の発症分布では1月に7症例と最も多かった。発症時間では6時台が8症例と最も多く、この時間帯と21時から24時までの4時間で全体の半数を占めた。初発が37症例、再発は5症例、3回以上が2症例あった。40症例が何らかの併存疾患を有し、そのうち高血圧症、高脂血症、糖尿病、脳血管障害のうちいずれか1つを認めるものは35症例あった。内服薬については併存疾患に伴う服用をしている症例がほとんどで、経口避妊薬服用症例はなかった。便秘を半数の21症例に認めた。性別以外の検討項目に性差がないか検討したがいずれにおいても有意な差は認めなかった。【結論】単一施設の検討であるが、虚血性大腸炎は女性に圧倒的に多い疾患と考えられる。その原因として従来から指摘されている、血管側因子としての自己免疫性疾患など併存、腸管側因子としての便秘、薬剤因子としての避妊薬などの服用といったこと以外に、女性に発症をきたしやすい未知の因子の存在が疑われる。これらを解明するために、より詳細な病歴聴取よる検討を進行中である。
索引用語 虚血性大腸炎, 性差