セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)2

タイトル 消P-632:

全身状態の安定した大腸憩室出血症例に対する、待機的下部消化管内視鏡の検討

演者 関 志帆子(大森赤十字病院・消化器内科)
共同演者 芦刈 圭一(大森赤十字病院・消化器内科), 河野 直哉(大森赤十字病院・消化器内科), 西郡 修平(大森赤十字病院・消化器内科), 天野 由紀(大森赤十字病院・消化器内科), 高橋 昭裕(大森赤十字病院・消化器内科), 浜中 潤(大森赤十字病院・消化器内科), 千葉 秀幸(大森赤十字病院・消化器内科), 井田 智則(大森赤十字病院・消化器内科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院・消化器内科), 太原 洋(大森赤十字病院・消化器内科), 後藤 亨(大森赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】大腸憩室出血に対する緊急内視鏡は、診断の確定および活動性出血の止血のために施行されるが、緊急時に行う場合、血液の貯留や残便により出血部位の特定が難しく、止血処置困難例も多い。2次救急病院である当院は全身状態の安定した患者が比較的多いため、待機的に内視鏡検査を行うことも多い。今回、大腸憩室出血症例における待機的内視鏡検査の安全性・有用性を検討した。【方法】2010年1月から2012年3月までに下血を主訴に来院し、病歴やCT所見から大腸憩室出血が疑われた32例のうち、入院から24時間以内に緊急内視鏡を施行した3例と、入院中内視鏡を施行しなかった3例を除いた26例(男:女=16:10、平均年齢73±10歳)を対象とした。全例ポリエチレングリコールによる前処置を行った。憩室出血の診断は、内視鏡で大腸腫瘍、炎症性腸疾患、虚血性大腸炎などの出血をきたす疾患や肛門出血が除外され、大腸憩室を認める場合とした。【成績】入院から検査施行日までの平均日数は3.4±2.8日であった。26例中12例は入院翌日以降も下血が持続したが、うち10例は検査日までに自然止血した。内視鏡で血性であった2例のうち1例は湧出性出血を認め、クリップ止血を行った。残りの1例は凝血塊付着を認めたが責任憩室を特定できず、止血処置を行わなかったが翌日には自然止血した。また、入院翌日以降も下血が持続した12例のうち4例は1週間以内に再出血した。入院翌日までに自然止血していた14例は、入院中再出血を認めなかった。輸血を要したのは26例中3例で、ショック状態まで増悪した例は無かった。【結論】全身状態の安定した大腸憩室出血において、入院翌日までに自然止血していた例は再出血を認めておらず、待機的に内視鏡検査を行うことが可能であると考えられた。しかし入院翌日以降も下血が持続する例では再出血のリスクもあり、早期に検査を行うことが望ましいと思われた。
索引用語 大腸憩室, 消化管出血