セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)2

タイトル 消P-634:

当院における大腸憩室出血に対するバリウム充填療法を施行した20例と処置後の穿孔症例の検討

演者 飯沼 瑞恵(横浜労災病院・消化器科)
共同演者 稲生 優海(横浜労災病院・消化器科), 河島 圭吾(横浜労災病院・消化器科), 内藤 舞(横浜労災病院・消化器科), 藤田 祐司(横浜労災病院・消化器科), 江塚 明子(横浜労災病院・消化器科), 内山 詩織(横浜労災病院・消化器科), 村瀬 貴之(横浜労災病院・消化器科), 谷 理恵(横浜労災病院・消化器科), 川名 憲一(横浜労災病院・消化器科), 大谷 節也(横浜労災病院・消化器科), 永瀬 肇(横浜労災病院・消化器科)
抄録 【目的】憩室出血の多くは自然止血するが約3割は再出血をきたし、輸血を必要とする症例もあり、臨床上問題となる。今回我々は当院での繰り返す大腸憩室出血に対し、高濃度バリウム注腸を施行した症例について報告する。【症例】症例は2010年8月から2012年3月までに当院における大腸憩室出血に対して、バリウム充填療法を施行した20例(男性14例、女性6例、年齢は38歳~92歳)である。観察期間は1~19ヶ月、平均9.8ヶ月である。入院中に血便を繰り返した11例、退院後短期間に血便を再発した6例、再出血予防目的の3例に対して、150W/V%のバリウム注腸を施行した。16例は内視鏡検査を施行し、2例は内視鏡で出血部位の特定ができ内視鏡的止血術を施行したが、14例は出血部位の特定は困難であった。【結果】20例中12例は、バリウム充填後、現在まで再出血なく経過している。1週間以内の早期再出血は4例、晩期再出血は4例であった。合併症例は、バリウム充填後に穿孔した症例が1例である。【穿孔症例】症例は64歳男性、既往歴として憩室炎穿孔ストマ造設後・胃癌術後・肺癌術後・関節リウマチがあった。バリウム充填後に人工肛門周囲の疼痛を訴え、38度の発熱を認めた。腹部X線検査、CT検査にて、人工肛門近傍腸管の憩室穿孔と診断した。腹腔内へのバリウムの漏出は認められなかったため、皮下切開し、緊急ドレナージ術を施行。術後、洗浄にてバリウムは排泄され、創部も自然閉鎖した。【考察】憩室出血は、明らかな出血源が特定された場合は内視鏡的クリッピングなどによる止血が有用であるが、出血源の特定が困難である場合も多い。今回我々は、大腸憩室出血に対してバリウム充填療法を20例に施行し、12例で再出血なく有効な止血が得られたが、1例で処置後穿孔を来たした。バリウム充填療法後の合併症例は検索した限りで本邦での報告がなく、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 バリウム充填, 憩室出血