セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)3

タイトル 消P-637:

再出血を来たす大腸憩室出血症例における検討

演者 伊藤 錬磨(石川県立中央病院・消化器内科)
共同演者 辻 重継(石川県立中央病院・消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】大腸憩室出血に対する代表的な治療法として内視鏡的止血術、経カテーテル動脈塞栓術(以下TAE)、手術などがある。我々は再出血を来たす因子について検討し、大腸憩室出血に対する治療法について考察する。【方法】対象は2007年1月から2011年12月まで大腸憩室出血と診断された72症例。大腸憩室出血の診断基準は1)CFにて憩室から顕性出血や露出血管を認めたもの、2)上下部消化管内視鏡検査や造影CTにて大腸憩室以外に出血源を認めなかったもの、とした。初回治療後1ヶ月以内の再出血を早期再出血とし、それ以降を晩期再出血と定義した。検討項目は、1.早期再出血の有無、2.晩期再出血の有無に対して、患者背景として年齢・基礎疾患・嗜好歴・低用量アスピリンや抗血小板薬、抗凝固薬、NSAIDs内服の有無・憩室出血の既往・来院時Hb値・ショックの有無・輸血の有無について比較検討し、また検討1については各初回の治療法(保存的加療;保存群、内視鏡的クリップ止血術;クリップ群、TAE、手術)、検討2については最終的に止血が得られた治療法を比較検討した。【成績】平均年齢は65.6±39.7歳、性別は男/女:54/18人、早期再出血までの平均日数は1.7±1.8日、晩期再出血までの平均日数は437.1±513.6日であった。早期再出血については患者背景に有意な因子は認めなかった。初回治療の内訳は保存群/クリップ群/TAE/手術:63/6/2/1例、早期再出血を来たしたのは13/4/0/0例で、クリップ群で有意に多かった(66.7%,p<0.01)。初回治療後の早期再出血に対して内視鏡的クリップ止血術を行ったのは11例(保存群/クリップ群:9/2例)で、さらに再出血を来たしたのは4例(保存群/クリップ群:2/2例)、計3回以上内視鏡的クリップ止血術を施行するも出血を繰り返し最終的にTAEや手術を行った例が1例ずつあった。晩期再出血については有意な因子は認めなかった。【結論】内視鏡的クリップ止血術では治療不十分となる場合が多く、早期再出血を来たす例にはTAEや手術といった他の止血方法を考慮するのが必要と考えられた。
索引用語 早期再出血, 内視鏡的クリップ止血術