セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)3

タイトル 消P-638:

過去10年間における当院の大腸結核症例の検討

演者 許山 彩(東京女子医大東医療センター・内科)
共同演者 川崎 孝広(東京女子医大東医療センター・内科), 安藤 由希(東京女子医大東医療センター・内科), 岡部 ゆう子(東京女子医大東医療センター・内科), 入村 峰世(東京女子医大東医療センター・内科), 木村 綾子(東京女子医大東医療センター・内科), 齋藤 壽仁(東京女子医大東医療センター・内科), 富松 昌彦(東京女子医大東医療センター・内科)
抄録 【はじめに】日本における全結核は、2000年以降減少傾向ではあるものの、未だ新登録患者数は年間24000人以上、罹患率(人口10万対)は19.0(2009年)であり、臨床上注意すべき疾患である。当院で過去10年間に経験した腸結核9例の診断過程と臨床像につき検討する。【対象と方法】2002年1月から2011年12月までの10年間に当院で診断、治療された腸結核9例につき大腸内視鏡検査所見、病理組織検査、抗酸菌培養、Tb-PCR、QFT、胸部病変の有無を含めた臨床所見について検討した。【結果】平均年齢は41.7(23-70)歳。男女比は男性4例、女性5例。自覚症状は腹痛5例、下痢2例、微熱1例、リンパ節腫脹1例、無症状2例で腹痛が最も多かった。1例は腸管穿孔、汎発性腹膜炎を発症し、手術標本より腸結核と診断された。陳旧性および活動性肺結核病変を4例で、胸膜炎や縦隔のリンパ節炎を2例で認めたが、3例では全く肺病変を認めなかった。なお、腸管病変を契機に結核と診断し肺病変が発見された例は3例であった。併存疾患は肝硬変、慢性腎不全、膠原病などであった。大腸内視鏡検査では回盲部と右側結腸が好発部位であり、輪状潰瘍、輪状狭窄、多発性潰瘍を認めた。病理組織検査では4例に乾酪性肉芽腫を認め、4例にZiel-Neelsen染色で抗酸菌を認めた。腸液で結核菌を3例で認め、腸粘膜PCR陽性例は2例あり、下部消化管内視鏡検査所見および検査時に提出する検査で診断に至った例が5例あった。なお、他検査で診断がつかずQFT陽性で腸結核の診断に至った例が1例であった。【考察】腸結核は大腸内視鏡所見上、癌や炎症性腸疾患が疑われても腸結核を念頭においた検索をすることで診断される。無症状や肺病変の認めない例も散見され、大腸の炎症を認めた際には腸結核も鑑別に挙げ検査していく必要がある。
索引用語 腸結核, 診断