セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)3

タイトル 消P-641:

当院でのナリジクス酸耐性サルモネラ菌の臨床的検討

演者 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科), 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科), 山本 剛(西神戸医療センター・臨床検査技術部)
抄録 【はじめに】サルモネラ感染症は,サルモネラ属菌の経口感染によって起きる疾患である.サルモネラ菌に対してはニューキノロン系薬が,最も臨床効果が期待できるとされ,臨床現場で頻用されてきた.しかしながら近年,国内外に限らずニューキノロン系薬に低感受性化したサルモネラの検出が増加し,ニューキノロン低感受性サルモネラに対してニューキノロン系薬を用いた治療の失敗例等の報告が見受けられる.これらは第一世代キノロンであるナリジクス酸耐性株による報告例が多く認められており,今回当院における各種培養検査でのナリジクス酸耐性サルモネラ菌の検討を行うこととした.
【対象】2000年1月~2012年1月までの間に,各種培養検査にてサルモネラ菌が検出された206例のうちナリジクス酸耐性株を認めた10例.
【検討項目】性別,年齢,基礎疾患,症状,治療法などについて検討した.
【結果】男性7例,女性3例の計10例.平均年齢は21.5歳(0~54歳)であった.症状は下痢及び腹痛症状等の腸炎症状を9例に認め,残る1例は肛門周囲膿瘍例であった.基礎疾患は糖尿病,肥大型心筋症,喘息などを有する例も見られたが,10例中6例には基礎疾患を認めなかった.また抗生剤投与例は10例中4例であり, levofloxacin(LVFX)処方例は3例, fosfomycin(FOM)処方例が1例であった.
【考察】Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)基準にてニューキノロン低感受性株は,levofloxacin(LVFX)などのニューキノロン剤に対するMinimum Inhibitory Concentration(MIC)が感受性と判定される場合が多いが,ナリジクス酸に対しては耐性を示す事が多い.このような抗生剤耐性化リスクとして安易な抗生剤処方による耐性獲得機序及び食用家畜へのオフロキサシン飲水添加剤によるサルモネラの耐性獲得機序が問題となっている.その上で我々臨床医としては少しでも抗生剤耐性化を防ぐために適切な抗生剤使用を行うことが必要と考える.
索引用語 サルモネラ, ナリジクス酸