セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)4

タイトル 消P-644:

集中治療室におけるにおけるCD腸炎は積極的栄養療法により抑制可能である

演者 佐藤 武揚(東北大病院・高度救命救急センター)
共同演者 藤田 基生(東北大病院・高度救命救急センター), 宮川 乃理子(東北大病院・高度救命救急センター), 大村 卓(東北大病院・高度救命救急センター), 山内 聡(東北大病院・高度救命救急センター), 赤石 敏(東北大病院・高度救命救急センター), 久志本 成樹(東北大病院・高度救命救急センター)
抄録 背景:抗菌薬関連腸炎としてClostridium difficile関連性腸炎(以下CD腸炎)は重篤な基礎疾患により長期入院中の高齢者に院内感染により発症し、時に集団発生を来し予後不良である。目的:当施設におけるCD腸炎の発生状況とそのリスクを明らかにし、積極的栄養療法の介入効果について検討すること。方法:1)2008-2011の間に当施設に入院し難治性下痢に対してCDトキシン検査を行い、陽性であった31例について原疾患、発生時期、予後を後方視的に検討した。2)2009年より当施設にてNSTによる栄養療法を行い、早期経腸栄養とSynbioticsの投与を積極的に行っている年毎の施設における栄養剤、整腸剤、刺激性下剤、広域抗菌薬の使用量とCD腸炎発生状況を解析した。結果:CDトキシン検査は難治性下痢に対して286回検査が行われ、そのうち31回で陽性であった。原疾患は重症熱傷が3例11回、重症敗血症が5例10回、多発外傷が4例4回、消化器疾患が1例1回であった。発生時期は入院後平均31.0日で発症時の血清アルブミン値は2.2g/dlであった。2009年より開始した栄養療法により整腸剤の使用量は2倍以上に増加し、広域抗菌薬の使用量は約4割減量した。年次別CDトキシン検出率の推移では、2008年は11例、24回検出されたのに対し2009年は5例、5回、2010年は1例に1回、2011年は1例1回であった。考察:重症病棟では抗生物質の使用が頻回であり、下痢を来す頻度が高く、多くが低栄養状態であり、CD腸炎の頻度が稀ではない。特に治療が長期化しやすい重症熱傷や重症敗血症では問題となるため、これらの症例に対して絶食期間を短縮し、積極的にSynbioticsを使用し、広域抗菌薬使用を制限することでCD腸炎の発生を抑えることができると思われる。そのためには組織的に定期監視培養を行い、感染対策室による組織的な感染管理、栄養療法の推進が大切である。
索引用語 Clostridium Difficile腸炎, 栄養療法