セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(その他)4

タイトル 消P-646:

直腸潰瘍の危険因子に関する検討

演者 駒井 俊彦(聖路加国際病院・一般内科)
共同演者 小俣 富美雄(聖路加国際病院・一般内科), 松田 道隆(聖路加国際病院・一般内科), 小林 大輝(聖路加国際病院・一般内科), 有岡 宏子(聖路加国際病院・一般内科)
抄録 【目的】成人における直腸潰瘍の危険因子を明らかにする。【方法】三次救急病院にて大腸内視鏡検査を受けた症例内にて後ろ向きコホート内症例対照研究を行った。2003年8月1日から2011年11月20日に直腸潰瘍と診断された49例から、生検組織の病理所見や便汁の細菌培養所見から潰瘍性大腸炎、感染性腸炎と診断された3例を除外した46例を直腸潰瘍の症例とした。各症例と同時期の大腸内視鏡例より抽出した145例を対照とした。直腸潰瘍の発症と関与が疑われる年齢、性別、抗血小板薬・抗凝固薬の使用の有無、既往歴(高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳血管障害)の有無、入院歴、入院日数、アルブミン値に対して直腸潰瘍との関連を検討した。二変量解析にて比較的有意・臨床上直腸潰瘍との関連が疑われる因子に対し多変量ロジスティック回帰分析を行った。【結果】症例群v.s.対照群それぞれの、平均年齢(SD)は73(2.4) v.s.59 (1.4)、男性患者数(%)は23(43%) v.s. 84(55%)、入院症例数(%)は40(87%) v.s. 23(17%)、血清アルブミン値(SD)は2.8(0.1) v.s.4.1 (0.1)、抗血小板薬・抗凝固薬の使用例(%)は26(58%) v.s. 19(15%)、高血圧患者数(%)は25(56%) v.s. 47(37%)、糖尿病患者数(%)は10(22%) v.s. 24(19%)、虚血性心疾患の既往例(%)は12(27%) v.s. 5(4%)、脳血管障害の既往例(%)は17(38%) v.s. 8(6%)であった。多変量解析では、入院歴、アルブミン値1mg/dl低下の直腸潰瘍に対する調整オッズ比[95%CI]はそれぞれ、9.58 [1.49-98.3]、0.17であった。また、入院歴を入院日数として検討してみると、入院日数の1日増加、アルブミン値1mg/dl低下の直腸潰瘍に対する調整オッズ比 [95%CI]はそれぞれ、1.06 [1.01-1.15]、0.13 [0.03-0.39]であった。【結語】入院歴(在院日数が長いこと)、低アルブミン血症は直腸潰瘍の有意な危険因子であり、発症予防対策が期待される。
索引用語 直腸潰瘍, 危険因子