セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他1

タイトル 消P-655:

当院で経験した孤立性腹腔動脈解離の4例

演者 武内 有城(名古屋記念病院・外科)
共同演者 伊奈 研次(名古屋記念病院・血液・化学療法内科), 古田 竜一(名古屋記念病院・血液・化学療法内科), 片岡 孝江(名古屋記念病院・血液・化学療法内科), 村上 賢治(名古屋記念病院・消化器内科), 神谷 聡(名古屋記念病院・消化器内科), 樋上 勝也(名古屋記念病院・消化器内科), 伊藤 亜夜(名古屋記念病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】腹腔内臓動脈解離は比較的まれな疾患であるが、近年画像診断の発達とともに報告例が増加している。今回われわれは、孤立性腹腔動脈解離の4例を経験したので報告する。【症例1】40歳代男性で、2日前より続く左上腹部痛が増悪し、救急車で搬送された。造影CTにて、多発脾梗塞と腹腔動脈解離(腹腔動脈~総肝・脾動脈)と診断され入院するも、絶食・安静の保存的治療にて軽快し、第9病日退院となった。【症例2】40歳代男性で、朝食後突然の左上腹部~背部痛にて救急外来受診。造影CTにて、多発脾梗塞と腹腔~総肝動脈解離、固有肝動脈閉塞があり、入院となる。固有肝動脈の血流は上腸間膜動脈の分枝から供給され、安静・降圧治療にて軽快し、第18病日退院となった。【症例3】40歳代男性で、高血圧にて内服治療中。夕食後より続く上腹部~背部痛にて救急外来受診したが、症状も軽快し、単純CTで異常なしとして一旦帰宅した。その後、救急部の画像レビューにて腹腔動脈解離が疑われて呼び出し再診し、造影CTにて腹腔動脈解離を認めた。症状消失していたが、血管外科にて経過観察となった。【症例4】40歳代男性で、1か月前より続く咳と胸痛にて救急外来受診し、胸部単純CT施行し、腹腔動脈根部の約1.5cm拡張を認めた。造影CTを追加し、腹腔動脈に解離と血栓化した瘤を認め、血管外科紹介して経過観察となった。【考察・結語】今回われわれが経験した症例は、全例40歳代の男性で、潜在性も含め2例に高血圧の合併を認めたが、大動脈を含めて他の血管異常は認めなかった。脾梗塞を合併したものは、症状も強く入院を要したが、症例4のように全く無症状の症例も認めた。これらは不完全閉塞か、または上腸間膜動脈の分枝から血流を受ける形で重篤な臓器障害を回避しており、動脈瘤も径2cmを超えておらず、全例保存的治療を選択した。これらの経験から、腹腔動脈解離の診断および治療について報告する。
索引用語 腹腔動脈解離, 腹腔動脈瘤