セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他1

タイトル 消P-656:

出血性消化管疾患に血栓症を合併した3症例

演者 木村 有宏(桐生厚生総合病院・内科)
共同演者 今泉 淳(桐生厚生総合病院・内科), 中山 哲雄(桐生厚生総合病院・内科), 飯田 智広(桐生厚生総合病院・内科)
抄録 【はじめに】現在消化器悪性腫瘍や炎症性腸疾患の患者に、高リスクで血栓症を合併することが報告されている。今回消化管に出血をきたした患者に血栓症を合併した3症例を経験したので報告する。【症例1】44才男性、平成23年12月にふらつき・黒色便を主訴に当院救急外来受診。緊急上部消化管内視鏡を施行し、十二指腸球部にA1stage潰瘍を認め当院入院した。第4病日に黒色下痢を認め再度緊急上部内視鏡を施行、新たに十二指腸2nd portionにA1stage潰瘍を認めた。同日夜より左半身麻痺を認め、頭部MRI施行し脳梗塞と診断された。慢性腎不全の既往があるため輸液にて経過観察を行い、第52病日に転院した。【症例2】73才男性、平成23年9月下痢・下血・腹痛を主訴に来院し、当院入院。下部消化管内視鏡にて直腸から連続性に血管透見消失・浮腫性変化認め、生検にて潰瘍性大腸炎と診断された。ステロイド投与および白血球除去療法にて効果認められず、第48病日よりタクロリムス製剤投与開始した。第75病日に突然右半身麻痺が出現、頭部MRIにて脳梗塞と診断された。オサグレルナトリウムおよびエダラボン投与開始し、第135病日に転院した。【症例3】76才女性、潰瘍性大腸炎にて当院通院中、平成23年12月下血・左側腹部痛を認め当院入院。サラゾスルファピリジン増量、メサラジン製剤投与開始するも効果認めず、第14病日よりステロイド(プレドニン)40mg/日にて投与開始した。症状改善認めず、第22病日よりプレドニン100mg/日に増量したところ両下肢に浮腫を認め、下肢血管CTにて右総腸骨静脈に血栓を認めた。第28病日にIVCフィルターを留置し、抗凝固薬を併用しながらステロイドを漸減、第81病日に退院した。【まとめ】一般に消化管出血をきたした患者では発症後禁食安静臥床となる場合が多く、抗凝固薬は投与しづらいのが現状であり、深部静脈血栓症等血栓症のリスクが高まる。抗凝固薬の予防投与に際しては、血液検査や静脈エコー・血管CTによるスクリーニングが有用であると思われる。
索引用語 血栓症, 消化管出血