セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他3

タイトル 消P-665:

消化器癌手術による生体反応と性差-脂肪細胞機能としてのアディポサイトカインを中心に-

演者 松谷 毅(日本医大・外科)
共同演者 松田 明久(日本医大・外科), 野村 務(日本医大・外科), 藤田 逸郎(日本医大・外科), 金沢 義一(日本医大・外科), 萩原 信敏(日本医大・外科), 小野寺 浩之(日本医大・外科), 丸山 弘(日本医大多摩永山病院・外科), 牧野 浩司(日本医大多摩永山病院・外科), 宮下 正夫(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【はじめに】外傷後の予後は男性に比して女性の方が良好である.その機序として性ホルモンが免疫細胞に作用し,同じ侵襲でも炎症性メディエーター産生などの生体防御反応が異なることが判明した.最近では,免疫細胞としての働きが注目される脂肪細胞においても,アディポサイトカインがエストロゲンやアンドロゲンによって調節されることから外科的侵襲後の生体反応の性差に関与している可能性が考えられる.消化器癌手術患者を対象とし,アディポサイトカインに焦点を置き,性差と手術後の生体防御反応について検討した.【対象と方法】対象は,開腹操作のみの胃および大腸癌待機手術症例72例(男性47例,女性25例)とした.術前後の血中アディポネクチン,レプチン値を測定し,男女間で比較検討した.【結果】女性では男性に比して有意に術前のアディポネクチン,レプチン値がともに有意に高値を示した(p<0.05).術後アディポネクチン値は男性女性ともに術前値と比して第1、3病日で有意に低値を示し,徐々に回復したが,術後レプチン値は,男性女性ともに術前値と比して第1病日で有意に高値を示した.また生化学検査でも男性は女性に比べ術後第3,5,7病日のCRP値,白血球数が有意に高値であった(p<0.05).術後肺炎,創部感染,腹腔内膿瘍などの術後感染症の発症率は,女性では25例中1例(4%)のみであったのに対し,男性では47例中16例(34%)と有意に高率であった(p<0.05).【結論】手術侵襲後の脂肪細胞を含めた免疫細胞の反応性および治療成績が男性と女性で異なるという結果は,女性のアディポサイトカイン値が手術侵襲前から有意に高値を示し,術後感染症の発症率を低下させている可能性が示唆された.
索引用語 性差, アディポサイトカイン