セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他3

タイトル 消P-667:

胆膵悪性腫瘍に対するTS-1治療中にニューモシスチス肺炎と考えられる日和見感染症を合併した2症例

演者 糸瀬 一陽(関西労災病院・消化器内科)
共同演者 嶋吉 彰紀(関西労災病院・消化器内科), 阿部 佳奈子(関西労災病院・消化器内科), 板倉 史晃(関西労災病院・消化器内科), 小豆澤 秀人(関西労災病院・消化器内科), 戸田 万生良(関西労災病院・消化器内科), 中村 剛之(関西労災病院・消化器内科), 柄川 悟志(関西労災病院・消化器内科), 牧野 仁(関西労災病院・消化器内科), 望月 圭(関西労災病院・消化器内科), 伊藤 善基(関西労災病院・消化器内科), 萩原 秀紀(関西労災病院・消化器内科), 林 紀夫(関西労災病院・消化器内科)
抄録 化学療法の進歩により、手術不能な胆膵の進行癌に対して広く抗癌剤治療が行われている。進行癌患者にはしばしばステロイドが投与されており、加えて原疾患による免疫能の低下、抗癌剤による骨髄抑制もあり、日和見感染発症の高危険群である。今回我々は、胆膵悪性腫瘍に対するTS-1治療中にニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia;PCP)を発症した2症例を経験したので報告する。【症例1】68歳男性。胆管細胞癌に対してTS-1の投与を行っていた。また倦怠感に対してベタメタゾン2mgを投与されていた。平成23年12月発熱、呼吸困難のため救急搬送された。胸部CTにて両肺野びまん性に濃度の上昇および間質陰影の増強を認め、薬剤性間質性肺炎または癌性リンパ管症が疑われたが、βDグルカン300pg/ml以上と高値であったためPCPと診断。ステロイドパルス療法、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤)にて加療を行った結果、呼吸状態・炎症所見の改善を認め在宅酸素療法を導入し退院となった。【症例2】66歳男性。膵癌に対してTS-1の投与を行っていた。また倦怠感に対してベタメタゾン3mgを投与されていた。平成24年2月発熱のため救急搬送された。胸部CTでは両側下肺野の浸潤影、粒状影・スリガラス状陰影を認め非定型肺炎が疑われた。βDグルカン高値であり、CT像と併せてPCPと診断し、ST合剤にて加療を行ったところ炎症所見の改善を認めた。その後癌性腹膜炎を発症し、緩和治療目的に転院となった。いずれの症例も診断のための気管支鏡検査は予後や合併症を考慮し施行しなかった。PCPは化学療法施行中に起こり得る重篤な合併症で、死亡率も高く一旦回復してもADLの低下により化学療法の継続が不能となることもある。抗癌剤治療中に非定型肺炎像を認める症例ではPCPを念頭に置き、早期に診断・治療することが重要であると考えられる。
索引用語 化学療法, ニューモシスチス肺炎