セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他3

タイトル 消P-669:

慢性腎不全維持透析症例に合併した消化管悪性腫瘍の臨床的検討

演者 藤原 弘明(三井記念病院・消化器内科)
共同演者 佐藤 公紀(三井記念病院・消化器内科), 大賀 貴文(三井記念病院・消化器内科), 斎藤 圭(三井記念病院・消化器内科), 大木 隆正(三井記念病院・消化器内科), 有住 俊彦(三井記念病院・消化器内科), 関 道治(三井記念病院・消化器内科), 戸田 信夫(三井記念病院・消化器内科), 三瀬 直文(三井記念病院・内科), 田川 一海(三井記念病院・消化器内科)
抄録 【目的】慢性腎不全維持透析症例に合併した消化管悪性腫瘍についての報告は少ない。今回我々は当院で経験した症例について疾患別に検討したので報告する。【方法、対象】2003年1月から2010年12月までの間、当院で消化管悪性腫瘍に対し入院加療された透析患者57例。これらの症例の治療方法、予後を検討した。【結果】男性39例、女性18例、平件年齢68.8歳。消化管悪性腫瘍の内訳は食道癌3例、胃癌24例、大腸癌30例。食道癌は、0期でEMRを施行し治癒した1例は55ヶ月、3期で食道亜全摘を施行した1例も12ヶ月の無再発生存を得たものの、1期(cT1bN0)で放射線治療を施行した1例は治療中に肺炎を合併し死亡した。胃癌は1A期15例、1B期2例、2期3例、3A期1例、4期3例。これらのうち2期2例、4期3例は透析及び併発症を含めた全身状態不良を理由に無治療経過観察となった。19例には、外科的切除または内視鏡治療が施行された。平均観察期間29.4ヶ月、1年生存率70.8%(17/24例)、3年生存率50.0%(8/16例)、5年生存率22.2%(2/9例)であった。観察期間中に原病死した症例は2期3例、4期3例であったが、1A期で他病死2例、1B期1例他病死、1例は周術期合併症で死亡した。大腸癌については、1期12例、2期6例、3A期9例、4期3例。1期1例、4期2例は胃癌同様全身状態不良を理由に無治療経過観察となった。27例に外科的切除または内科的治療が施行された。平均観察期間33.3ヶ月、1年生存率79.3%(23/29例)、3年生存率52.3%(11/21例)、5年生存率26.7%(4/15例)であった。観察期間中に原病死した症例は3A期3例、4期3例であったが、1期で他病死を4例に認め、2期1例が周術期合併症で死亡した。【結論】透析患者における消化管悪性腫瘍の予後は、早期発見及び積極的な治療的介入によって予後が期待できるものの、治療後早期の他病死や治療関連死が散見される。また全身状態不良を理由に14%の症例が無治療経過観察となっていた。
索引用語 透析, 悪性腫瘍