セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
その他3
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タイトル |
消P-670:当院でERCPを施行された後期高齢者と非後期高齢者の比較検討
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演者 |
中島 嘉之(さいたま市民医療センター・消化器内科) |
共同演者 |
浅見 育広(さいたま市民医療センター・消化器内科), 吉川 修平(さいたま市民医療センター・消化器内科) |
抄録 |
目的:内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は内視鏡手技の中でも比較的手技が煩雑であり、また重症膵炎などの重篤な合併症も認めることから、高齢者などでは敬遠される傾向が見受けられる。今回、当院で施行されたERCP患者を後期高齢者と非後期高齢者に分け、手技の困難度、術後膵炎の合併率などにつき比較検討をおこなった。方法:2011年1月から12月までの1年間に、当院でERCPを施行された連続200例について、75歳以上を後期高齢者群、未満を非後期高齢者群に群別化し、性別、年齢、目的とした胆管ないし膵管への挿管完遂率から手技の困難度を、施術前の患者血清アミラーゼ(AMY)値と施術後の血清AMY値から算出したAMY上昇割合から術後膵炎発生率の比較検討を行った。また、2群間の主病因についても検討をおこなった。結果:期間内にERCPを施行された症例は200例であり、後期高齢者は92例だった。男性が66%で後期高齢者、非後期高齢者における男性の割合はそれぞれ63%、70%だった。後期高齢者の平均年齢は81.8±5.94歳、非後期高齢者の平均年齢は62.1±11.37歳であった。挿管成功率では後期高齢者群98%、非後期高齢者群94%で後期高齢者群に高い結果となった。術後AMY/術前AMYでみた上昇割合は、後期高齢者群で3.48±4.67、非後期高齢者群で4.88±9.58であり、後期高齢者群で上昇割合が低い結果となったが、F検定ではp=1.76と有意差は見られなかった。また、両群ともに主病因は総胆管結石症であり、後期高齢者群の48%、非後期高齢者群の43%であった。以下、後期高齢者群では胆管癌、膵癌がこれに続き、非後期高齢者群では膵癌、胆管癌の順であった。いずれの群も、この3疾患で約8割であった。結語:今回の検討では後期高齢者と非後期高齢者において、手技の困難度や術後膵炎の合併率に有意差が存在しない可能性が示唆された。高齢者に対する術後の評価としては、退院までの日数や術後日常生活動作の回復などについても検討する必要があるものの、高齢者であることが手技の妨げにはならないものと推察された。 |
索引用語 |
ERCP, 高齢者 |