セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他4

タイトル 消P-672:

腸管オートファジー誘導による抗酸化作用、腸管バリア増強作用を応用した過敏性腸症候群の新規治療開発

演者 稲場 勇平(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
共同演者 藤谷 幹浩(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 高後 裕(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
抄録 【目的】過敏性腸症候群(IBS)は機能性消化管障害の代表疾患であり、高頻度かつ生活に支障を及ぼす重要疾患である。疾患の原因として腸内細菌叢の異常や酸化ストレスによる腸管バリア機構の破たんなどが挙げられる(Piche T, et al, Gut 2009)。今回我々は新しくプロバイオティクスによるオートファジー誘導を介した抗酸化‐腸管バリア増強作用を同定したので報告する。【方法】ヒト大腸癌細胞株(Caco2)およびラット小腸細胞株(IEC18)に、1.ビフィズス菌(BB)の培養上清を投与し、オートファゴソームの構成分子LC3の発現誘導についてウェスタンブロットにて検討した。2. 上記の腸由来細胞を酸化ストレス下におき、BBの培養上清の投与による細胞間バリア機能の変化をCr‐release assayを用い検討した。また、siRNA-Atg7の遺伝子導入によりオートファジー抑制モデルを作成し、同様に細胞間バリア機能の変化を検討した。3.各種カラムによる分画、熱および酵素処理による分析からBB培養上清のオートファジー誘導活性を持つ分子の探索的検討も行った。【結果】1.BB培養上清は投与2時間後より経時的かつ用量依存的にLC3発現を誘導した。2. BB培養上清は酸化ストレスによる細胞バリア機能の低下を改善した。siRNA-Atg7導入細胞では、このBB培養上清の作用は消失した。3. BB培養上清のオートファジー誘導活性物質は分子量3kDa以下、熱耐性であり、蛋白分解酵素により失活した。【結論】プロバイオティクスによる腸管オートファジー誘導を介した抗酸化‐腸管バリア増強作用の新しいメカニズムを発見した。この作用を応用した新規のIBS治療開発が期待される。
索引用語 過敏性腸症候群, オートファジー-