セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他4

タイトル 消P-675:

消化管GIST多発肝転移に対し外科切除単独/外科切除+Imatinib投与により長期生存中の2例

演者 川瀬 寛(製鉄記念室蘭病院・外科)
共同演者 早馬 聡(製鉄記念室蘭病院・外科), 仙丸 直人(製鉄記念室蘭病院・外科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院・病理・臨床検査室)
抄録 今回,我々は消化管GISTの多発肝転移に対し,外科的切除単独で12年生存中である症例と切除後のImatinib内服により9年間生存中である症例を経験したので報告する.【症例1】 68才男性.H6年に胃GISTの診断にて胃全摘術を施行し, H10年より通院を自己中断していた.H12年に右上腹部の鈍痛を主訴に来院し,CTにて多発肝転移を認めた.術前門脈塞栓術施行し,拡大肝右葉切除+S2部分切除術施行した.病理結果はCD34, c-kit陽性であり,胃GISTの多発肝転移の診断であった.術後補助化学療法は施行せず,術後12年間,無再発生存中である.【症例2】69才男性,左側腹部腫瘤精査の大腸内視鏡検査で盲腸に隆起性病変を認めた.CTでは膵体尾部から連続する巨大腫瘤と肝に多発する腫瘤を認めた.大腸癌または膵癌,および同時性の多発肝転移が疑われ試験開腹を行った.術中所見では,腫瘍は上部空腸原発であり,結腸右半切除,上部空腸切除,膵体尾部脾合併切除術を施行した.病理結果では,上部空腸の腫瘍はCD34, c-kitがともに陽性であり,空腸GISTの診断であった.術後3ヶ月からImatinib 400mg/日の内服を開始し,1ヵ月後の腹部CTで肝転移巣の液状変性が見られた.腎機能悪化などの副作用のため,内服開始後8年で一時休薬とした.休薬4カ月後のCTで液状変性した嚢胞内の充実部分の増大傾向を認め,腎機能が改善傾向であったことから,400mg/日で内服を再開した.再開後6カ月でのCTでは充実部分が再度液状変性し,ほぼ休薬前の大きさまで縮小した.Imatinib内服開始から約9年が経過しているが,現在も外来にて投与継続しSDを維持している.【まとめ】GISTに対する治療として外科的切除による完全切除が最もよい治療法と考えられるが,imatinib等の薬剤治療を組み合わせることにより,より長期間の病勢コントロールが可能と考えられた.また,Imatinibの長期投与中に,合併症による休薬と,休薬後の再燃に対しての再投与で治療効果を認めた興味深い症例を経験したので報告する.
索引用語 GIST, 肝転移