セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他5

タイトル 消P-680:

当院における難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)の現状

演者 長谷川 浩司(国立三重中央医療センター・消化器科)
共同演者 子日 克宣(国立三重中央医療センター・消化器科), 竹内 圭介(国立三重中央医療センター・消化器科), 亀井 昭(国立三重中央医療センター・消化器科), 渡邉 典子(国立三重中央医療センター・消化器科), 堯天 一亨(国立三重中央医療センター・外科), 信岡 祐(国立三重中央医療センター・外科), 谷川 寛自(国立三重中央医療センター・外科), 横井 一(国立三重中央医療センター・外科)
抄録 腹水濾過濃縮再静注法(以下CART)は穿刺排液腹水中の不純物を除去し蛋白成分を濃縮し再静注する治療法で、難治性腹水に対して有効な治療法である。自己蛋白の再利用が可能で血液製剤の節約できるメリットがある。今回当院におけるCARTの現状をretrospectiveに検討したので報告する。【対象】2010年3月から2011年11月までに当院にてCARTを導入した41例(男性22例平均年齢68.7±2.4才、女性19例平均年齢70.2±3.5才)。内訳:肝性腹水21例(男性14例 平均年齢63.3±2.4才、女性7例 平均年齢73.6±4.8才)C型肝硬変13例、B型肝硬変2例、NBNC肝硬変6例)、癌性腹膜炎20例(男性8例 平均年齢63.3±2.4才、女性12例 平均年齢73.6±4.8才)、原疾患の内訳:膵癌5例、大腸癌4例、卵巣癌4例、胃癌3例、胆管癌2例、子宮癌1例、原発不明癌1例)。【方法】retorospectiveに全生存期間、腹水出現からの生存期間、CART導入後の生存期間をKaplan-Meier法にて比較した。またCART導入直前のAlb値及び肝性腹水についてはAlb、T.Bil、PT、アンモニア値について検討を行った。【結果】全生存期間:肝性腹水5年10.8%、癌性腹膜炎2年生存率10.2%(P<0.0005)。腹水出現後の生存期間:肝性腹水1年14.3%、癌性腹膜炎1年生存率5.0%(np)。腹水出現後の生存期間:肝性腹水1年10.6%、癌性腹膜炎1年生存率1.5%(np)。CART導入後の生存期間:肝性腹水6ヶ月14.3%、癌性腹膜炎1年生存率20.0%(np)。CARTの施行回数:肝性腹水3.4±1.0回、癌性腹膜炎3.6±0.7回。CART導入時のAlb値は肝性浮腫で2.7±0.1、癌性腹膜炎2.8±0.2で有意差はなかった。肝性腹水症例のT.Bil 2.35±0.43、PT 61.6%±4.6、NH3 41.4±4.6。経過観察中に重篤な合併症はみられなかった。【結論】難治性腹水に対するCARTはその成因によらず繰り返し施行することで安全に腹水をコントロールでき有効と考えられた。
索引用語 難治性腹水, 腹水濾過濃縮再静注