セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他5

タイトル 消P-681:

当院における進行消化器癌に伴う難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)の検討

演者 高野 眞寿(札幌北楡病院・消化器内科)
共同演者 星野 拓磨(札幌北楡病院・消化器内科), 佃 曜子(札幌北楡病院・消化器内科), 長佐古 友和(札幌北楡病院・消化器内科), 片桐 雅樹(札幌北楡病院・消化器内科), 川村 直之(札幌北楡病院・消化器内科), 工藤 峰生(札幌北楡病院・消化器内科), 目黒 順一(札幌北楡病院・外科), 米川 元樹(札幌北楡病院・外科), 川村 明夫(札幌北楡病院・外科)
抄録 【目的】進行消化器癌に伴う難治性腹水は治療に難渋することが多く、腹部膨満感や食欲低下により加療の継続を困難にしQOLを低下させる。難治性腹水に対する治療としては腹水ドレナージやPV shuntがあるが、腹水ドレナージには血漿蛋白質低下や浮腫、PV shunt にはshunt閉塞が多く合併症が高率でDICなどの致死的なものもみられることが問題点である。腹水濾過濃縮再静注法(CART)は腹水の除去による症状の緩和に加え、腹水中の自己蛋白質を再静注するため血漿蛋白質低下の軽減が期待される。今回当院における進行消化器癌に伴う難治性腹水に対するCARTについてretrospectiveに検討した。
【対象】2007年4月~2012年3月までに難治性腹水に対して当院でCARTを施行した50症例184回のうち進行消化器癌に伴う難治性腹水症例36症例129回を対象とした。
【結果】平均年齢は68.2歳、男女比は2:1であった。36例中肝癌14例、胃癌9例、膵臓癌7例、胆道癌4例、結腸癌2例であった。1回の腹水処理量は平均3457mlで、1症例あたりの平均施行回数は3.58回であった。ほとんどの症例は終末期の症状緩和としてCARTが施行されたが、7例39回は化学療法中の症状緩和に施行された。全例CART後に症状の緩和が認められた。全例CART施行中ショックを認めず、腎不全、心不全などの合併症もなかった。発熱の頻度が高かったが、ステロイド剤で対応可能で重篤な合併症となったものはなかった。
【結論】CARTに伴う合併症としては発熱のみで、終末期の全身状態が不良な症例においても施行可能であり、進行消化器癌に伴う難治性腹水に対する治療としては有用であった。
索引用語 難治性腹水, 進行消化器癌