セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)その他5 |
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タイトル | 消P-682:難治性癌性腹水に対する腹水全量ドレナージ、新方式腹水濾過濃縮再静注法(KM-CART)の有効性・安全性の検討 |
演者 | 土井 顕(倉敷中央病院・消化器内科) |
共同演者 | 松崎 圭祐(要町病院・腹水治療センター), 久保 敦司(倉敷中央病院・消化器内科), 角谷 彰(倉敷中央病院・消化器内科), 久保 京子(倉敷中央病院・消化器内科), 菊池 理(倉敷中央病院・消化器内科), 清輔 良江(倉敷中央病院・消化器内科), 石田 悦嗣(倉敷中央病院・消化器内科), 藤田 英行(倉敷中央病院・消化器内科), 毛利 裕一(倉敷中央病院・消化器内科), 松枝 和宏(倉敷中央病院・消化器内科), 山本 博(倉敷中央病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】癌緩和医療において、癌性難治性腹水の治療は非常に困難であり、症状緩和を得ることも難しく、また保存的加療ではコントロールできない場合が多い。今回癌性腹水の治療としては比較的新しい治療である腹水全量ドレナージ、新方式腹水濾過濃縮再静注法(KM-CART)を当院で導入したため、その概要を報告し、有効性・安全性につき検討する。 【方法】2011年10月より2012年2月までに当院で行った、難治性癌性腹水8症例(膵臓癌3例、婦人科癌4例、悪性リンパ腫1例)に対する11回の腹水全量ドレナージ、KM-CARTを対象とした。平均処理腹水量は7.5lと多く、平均濾過濃縮腹水量は0.8lであった。それぞれの施行前後の血中アルブミン値の比較、合併症の発生につき検討した。また導入後4例目以降で、2泊3日の入院で外来通院へ移行可能であった4症例、5回の治療に対し健康関連QOL(HRQOL: Health Related Quality of Life)尺度SF-8 TM(SF8 Health Survey)を用いて施行前後それぞれ1週間でのQOLの変化につきアンケート調査を行った。 【成績】11回の施術前の平均Alb値は2.27g/dl、施術後の平均Alb値は2.55g/dlで増加傾向を認めた。合併症として38度以上の熱発を2例に認め、うち1例はNSAIDsを1回内服し解熱を得た。施術翌日の採血でLDHの上昇を1例、凝固機能異常を1例に認めたが無治療で自然軽快した。DICの発生や、血圧低下を含めバイタルサインの変化は全例で認めなかった。SF8TMの集計結果では、施術前1週間の身体的健康をあらわすサマリースコアPCS、精神的健康をあらわすサマリースコアMCSの平均はそれぞれ37.4、38.7であり、施術後1週間での平均はそれぞれ45.9、42.5でいずれも改善傾向が認められた。 【結論】難治性癌性腹水の治療として腹水全量ドレナージ、KM-CARTは安全に行うことができ、かつ効果が期待できる治療になりうると考えられた。 |
索引用語 | 癌性腹水, CART |