セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他6

タイトル 消P-688:

消化器癌治療における緩和ケア病棟・外来の役割

演者 許山 美和(山梨県立中央病院・緩和ケア科)
共同演者 阿部 文明(山梨県立中央病院・緩和ケア科), 小俣 政男(山梨県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年、消化器癌においては化学療法やステント技術の進歩により生存期間の延長がみられるが、同時に患者の苦痛緩和への取り組みも重要視されてきている。当院では2005年4月山梨県唯一の緩和ケア病棟15床(医師2名、看護師14名)と緩和ケア外来を開設した。開設以降7年間の現状から消化器癌におけるその役割を検討する。【方法】2005年4月から2012年2月までに当院緩和ケア病棟に入院した患者のべ896例と緩和ケア外来初診患者1577例について検討した。【結果】消化器癌の入院患者のべ数は404例(45%)、平均年齢68歳。2005-2006年度を前期、2007-2008年度を中期、2009-2011年度を後期と区切ると原因疾患のべ数は上部消化管32/47/68、下部消化管15/44/49、肝胆膵28/42/78例。紹介元は院内消化器内科15/23/52、外科21/61/60、院外施設39/50/85例。平均在棟日数は上部消化管31/27/23、下部消化管23/28/26、肝胆膵36/39/22日間。転帰は死亡退院70/125/167、在宅退院5/8/19、転院0/0/4例。経年的に入院患者数の増加、在棟日数の減少、症状緩和目的入院の増加が認められた。緩和ケア外来の全初診数は1577(238/595/744)、のべ数は3487(315/823/2349)、消化器癌初診数は629(112/191/326)例(40%)。主な紹介元は院内消化器内科30/31/103、外科32/87/96例。緩和ケア外来は後期から著増し、特に消化器内科からの紹介が増加した。【結論】緩和ケア病棟在棟日数の減少は外来症状緩和の増加や化学療法の進歩による治療期間の延長等の影響が考えられる。緩和ケア外来は中期以降、入院・外来患者の症状緩和目的も対象としたこと、後期からは緩和ケア医の消化器内科カンファレンス参加等が患者増加につながった。今後消化器癌は化学療法によりさらなる延命が期待されるが、がんに伴う諸々の苦痛を緩和し生活の質の維持向上を図る必要もある。外来通院治療が主体となる今後は主科と緩和ケア科が入院外来問わず連携し、苦痛の早期発見と適切な緩和ケアの提供が重要である。
索引用語 緩和ケア病棟, 緩和ケア外来