セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
その他6
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タイトル |
消P-690:オピオイドナイーブ消化器癌患者におけるフェンタニルパッチ早期導入の臨床的検討
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演者 |
江口 考明(済生会中津病院・消化器内科) |
共同演者 |
福知 工(済生会中津病院・消化器内科), 長谷 善明(済生会中津病院・消化器内科), 上田 綾(済生会中津病院・消化器内科), 川口 真平(済生会中津病院・消化器内科), 古賀 英彬(済生会中津病院・消化器内科), 生方 聡史(済生会中津病院・消化器内科), 仙田 花実(済生会中津病院・消化器内科), 田中 敏雄(済生会中津病院・消化器内科), 大橋 理奈(済生会中津病院・消化器内科), 山下 博司(済生会中津病院・消化器内科), 伊藤 大(済生会中津病院・消化器内科), 蘆田 潔(済生会中津病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】消化器癌患者は進行に伴って疼痛だけでなく,嘔気や便秘といった消化器症状を生じやすい。疼痛は主観的なため一般的な麻薬導入時期や貼付剤への変更時期を示す明確な指標は無く,一般消化器医は疼痛治療に戸惑うことがある。そこで初期疼痛治療を目指した麻薬導入時期と,消化器症状の少ないフェンタニルパッチ早期導入での有用性を検討した。【対象】2010年1月~2012年3月通院中の消化器癌患者のうち,癌性疼痛でNSAIDs投与中にもにもかかわらず疼痛を訴える25例(全例オピオイドナイーブ)【方法】(A) NSAIDs投与中にNRS 4以上の痛みを訴える患者にオキシコドン塩酸塩散(2.5mg)(以下オキノーム)4包/分4で導入。(B) オキノーム導入後NRS 3以下になった時点で3日型フェンタニルパッチ(2.1mg)(以下TDF)に変更した。(C) TDF変更後NRSが増悪すればTDF増量し2週間経過観察した。(A~C)それぞれでSF-8でのQOL評価(Tukey-Kramer test)と,(B~C)で眠気,吐気,便秘症状を4段階(0:なし~3:重度)で評価(wilcoxon test)した。【結果】1) 25例のNSAIDs投与時NRSは平均±SD(5.80±2.16)で,TDF変更までのオキノーム投与日数は(4.68±2.71)だった。2) 副作用平均値は眠気(B:C/0.88:0.56),吐気(B:C/0.64:0.44),便秘(B:C/0.80:0.68)で,TDF導入前後で有意差は認めなかった。3) SF-8は平均身体的サマリースコア(A:B:C/33.4:39.1:40.9)と有意に改善した(P<0.05)。さらに下位尺度8項目中6項目でQOLが向上しており,特にそのうち「身体の痛み」項目(A:B:C/37.6:44.8:45.5)でも有意に改善した(P<0.05)。【考察】NRS 4以上でオキノーム導入しても4.68日と短期間でNRS 3まで疼痛改善を認め,TDFへ少ない副作用で導入可能だった。またTDF早期導入はQOLの改善を示唆した。消化器癌患者でNRS 4は麻薬導入の簡便な指標となり、早期TDF導入は患者にとって有意義な緩和医療に繋がる可能性がある。 |
索引用語 |
フェンタニルパッチ, NRS |