セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他7

タイトル 消P-693:

慢性腎臓病(CKD)の存在が肝細胞癌に対する治療に与える影響

演者 中鉢 龍徳(国立関門医療センター・消化器内科)
共同演者 坂口 英樹(国立関門医療センター・消化器内科), 柳井 秀雄(国立関門医療センター・臨床研究部), 石垣 賀子(国立関門医療センター・消化器内科), 山崎 隆弘(山口大大学院・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大大学院・消化器病態内科学)
抄録 【目的】肝細胞癌患者の全体的な5年生存率は50%程度と言われている。また、原疾患により、予後は異なるが、慢性腎臓病(以下CKD)患者ではeGFRが低下するほど、直線的に総死亡が上昇すると言われている。CKDの存在が肝細胞癌に対する治療や予後に与える影響について検討した。【方法】2006年7月から2010年6月まで47ヶ月間において、173症例(平均年齢69.8歳)の肝細胞癌患者の治療を当院で行った。肝細胞癌と診断された前後3カ月の血清クレアチニン値を基にした推算式で糸球体濾過量の推定値(eGFR)が60ml/min未満(以下CKD群)の患者数を割り出したところ、52例(平均年齢74.8歳)がCKD群に該当した。これらのCKD群と、eGFRが60ml/min以上(以下非CKD群)の121例(平均年齢67.5歳)との2群間での予後ならびに治療についての比較、検討を行った。【結果】肝細胞癌患者の予後にもたらす要因として、年齢、肝細胞癌のステージ、Child-Pugh分類、 CKD合併の有無、四つの因子について多変量解析を行った結果、肝細胞癌のステージ、Child-Pugh分類が悪いほど予後は悪く、CKDの存在は肝細胞患者の予後に有意な影響を与えていなかった。両群の死亡原因の比較ではCKD群では肝不全死の割合が多く有意差(P<0.05)を認めた。【考察】腎機能の低下は肝細胞癌患者の予後に有意な影響を与える因子ではなかったが、両群の死亡原因の比較ではCKD群では肝不全死の割合が有意に多かった。CKD合併肝細胞癌患者に対しては、肝不全に注意しながら治療を行う必要があると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 慢性腎臓病