セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他7

タイトル 消P-694:

術前診断が困難であった後腹膜paragangliomaの1例

演者 松本 尚之(大津市民病院・消化器内科)
共同演者 小木曽 聖(大津市民病院・消化器内科), 土井 俊文(大津市民病院・消化器内科), 藤井 恒太(大津市民病院・消化器内科), 高田 龍介(大津市民病院・消化器内科), 高谷 宏樹(大津市民病院・消化器内科), 益澤 明(大津市民病院・消化器内科), 高見 史朗(大津市民病院・消化器内科), 若林 直樹(大津市民病院・消化器内科), 片岡 慶正(大津市民病院・消化器内科)
抄録 【症例】67歳女性【主訴】腹部腫瘤精査目的【既往歴】虫垂切除術【現病歴】腰痛にて近医通院中に偶然、腹部腫瘤指摘され、当科紹介となる。【臨床経過】腹部超音波検査、CT検査、MRI検査では左側後腹膜に約10cmほどのほぼ類円形の腫瘤を認め、その内部の大部分は造影効果なく多房性の嚢胞変性をきたしていた。FDG-PET検査では腫瘤の外層に集積の増加を認めた。腹部血管造影検査では明らかな腫瘍濃染像は認めなかった。上下部消化管内視鏡検査では特記異常は認めず、小腸造影検査にても圧排像を認めるのみであった。  後腹膜の腫瘤性病変として、神経鞘腫、GIST、血腫などが鑑別診断となったが、確定診断には至らず、外科的手術となった。腫瘤は白色石様硬であり、Treitz靭帯を出てすぐの空腸と約10cmに亘って癒着していた。腫瘤を触知した直後から血圧が乱高下し、この時点でparagamgliomaが疑われた。小腸部分切除を伴う腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は、大半が壊死に陥っており、繊維性結合組織に被われていた。病理組織検査では円形核を有する腫瘍細胞が、間質に多数の小血管を伴いながら胞巣を形成し増生していた。免疫組織化学検査では、chromograninA、synaptophysinに陽性でありparagangliomaに矛盾しない所見であった。【考察】後腹膜paragangliomaは後腹膜腫瘍の約2%とまれな腫瘍である。一般的には血流豊富な充実性腫瘤であり、動悸、頭痛、発汗、高血圧といったカテコラミン過剰分泌による症状を示さない症例は、大きくなり発見される場合もみられる。本症例では、特記すべき臨床症状を認めず、腫瘍の内部がほぼ変性壊死していることによりparagamgliomaに非典型的な画像所見を呈し、術前診断が困難であったと考えられる。貴重な症例と思われ、若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 paraganglioma, 後腹膜