セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他7

タイトル 消P-695:

多発肝転移を伴った脾臓原発血管肉腫の一例

演者 木村 佳人(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科)
共同演者 山下 幸政(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 松本 善秀(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 板井 良輔(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 小野 洋嗣(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 山田 聡(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 高田 真理子(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 三上 栄(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 住友 靖彦(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科)
抄録 症例は77歳女性。平成23年8月下旬より全身倦怠感と微熱が出現し、徐々に増悪するため同年9月に当院を受診した。血液検査ではWBC 29360/μl,Hb 8.8g/dl,Plt 7.4×104/μl,AST 82IU/l,ALT 73IU/l,ALP 1088 IU/l,LDH 707 IU/l,γ-GTP 315IU/l,CRP 13.4mg/dlと炎症反応の上昇、貧血と血小板減少、肝胆道系酵素の上昇を認めた。腹部造影CTでは脾臓は長径16cm大に腫大し、その大半が腫瘍に置換されていた。また腫瘍は造影早期から後期にかけて辺縁の一部が強く造影されていた。さらに肝臓には2cm以下の結節が多数存在していた。脾臓原発の悪性腫瘍の肝転移を疑い、精査加療のため入院となった。入院第4日に肝生検を行ったが、血管腫様の組織が一部採取されたのみで確定診断には至らなかった。sIL-2Rが1070U/mlと悪性リンパ腫としては低値であり、画像所見から血管系腫瘍が疑われたことから、脾臓原発血管肉腫を疑った。進行した脾血管肉腫の治療では脾破裂の予防のためまず脾臓摘出術を行い、次いで全身化学療法を行うことが一般的である。しかし本例では腫瘍が非常に巨大であること、また進行性の血小板減少症を認めたことなどから手術リスクが非常に高く、まず化学療法を行い腫瘍を縮小させてから脾臓摘出術を行う予定とした。貧血と血小板減少症に対して輸血を併用しつつ入院第8日目からweekly PTXを開始した。しかし入院第14日には好中球数が 420/μlにまで低下し、化学療法の継続が困難であった。そこで血小板減少のコントロール、脾臓破裂の予防、診断確定のため入院第24日に脾臓摘出術を施行した。免疫染色の結果、CD31(+), CD34(+), factor8(+), cytokeratin(-), vimentin(+)より血管肉腫と診断した。術後全身状態の改善を待って分子標的薬を使用する予定であったが、徐々に肝不全が進行し入院第38日に死亡した。
非常に稀で予後不良な疾患である脾臓原発血管肉腫の一例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 血管肉腫, 原発性脾腫瘍