セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他8

タイトル 消P-697:

当初、急性膵炎と診断した特発性腸間膜血腫の1例

演者 渡邉 照彦(鹿児島市医師会病院・外科)
共同演者 夏越 祥次(鹿児島大大学院・腫瘍制御学・消化器外科学)
抄録 症例は55歳の男性である.既往歴:肝機能異常を指摘されたことがある.現病歴:2008年8月下旬に親戚の集まりがあり,大量に飲酒.翌日に突然の上腹部痛があり受診することになった.初診時の腹部CTでは腸間膜・腸管周囲にLDAが広がっておりLDAと膵臓との境界が不明瞭な部分が見られ,当初は膵臓に由来するfluidと考えた.採血にて血中および尿中アミラーゼ・血中リパーゼは正常範囲であったが,経過・症状と考え合わせ重症急性膵炎を強く疑った.他院へ紹介搬送の途中に,血圧は60mmHg台まで低下した. 同院に入院後は集中治療を開始し,次第にvital signも安定してきた.発症7病日目のCTでは,腹腔内腹膜脂肪組織内に広がったLDAの範囲は縮小しつつあり,膵実質は比較的保たれている所見が得られた.急性膵炎は否定的と考え,9病日目に血管造影・CTA(カテーテルをSMAに留置)を施行した.中結腸動脈分枝よりextravasationの所見が認められた.血管奇形・動脈瘤の所見はなく,外傷の既往も無いことから特発性腸間膜血腫の診断となった.腹部症状は9月初旬には消失した.その後のCTでは血腫は縮小し限局化傾向にあり,動脈瘤・腫瘍性病変も無いことから手術は施行せず経過観察となった.2011年3月現在,再発の所見はない.
索引用語 特発性腸間膜血腫, 横行結腸