セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他8

タイトル 消P-700:

急激な転帰を辿った典型的なVibrio vulnificus敗血症の1例

演者 佐藤 淳一(岡崎市民病院・消化器内科)
共同演者 坂野 閣紀(岡崎市民病院・消化器内科), 寺本 彰(岡崎市民病院・消化器内科), 藤吉 俊尚(岡崎市民病院・消化器内科), 松岡 歩(岡崎市民病院・消化器内科), 徳井 未奈礼(岡崎市民病院・消化器内科), 内田 博起(岡崎市民病院・消化器内科), 飯塚 昭男(岡崎市民病院・消化器内科)
抄録 【症例】64歳、男性【主訴】腹痛・下肢痛【既往歴】胃癌にて胃全摘後、脾摘後。腸閉塞。肺炎・心不全。アルコール性肝炎。【常用薬】利尿剤・降圧剤・鉄剤。【飲酒歴】ビール:350mL/日、もともとは大酒家。【現病歴】川釣りで取った魚を摂取後に腹痛・下痢が出現。翌日に下腿浮腫・下肢痛出現し、症状悪化してきたため発症2日後に救急外来受診した。意識清明・体温:36.1℃・血圧:62/37mmHg・脈拍:97回/分・呼吸回数:18回/分。表在リンパ節腫脹なし。眼瞼結膜に貧血あり。腹部に軽度の圧痛あり。心窩部・臍部・両側上肢に紫斑あり。両側下腿には紫斑のほかに浮腫・水疱あり、また著名な圧痛を認めた。熱感や冷感には乏しく、指先にチアノーゼなし。足背動脈は触知可能。血液検査でWBC:9200/μL、Hb:6.1g/dL、CRP:8.7mg/dL、K:4.2mmol/mL、CK:176IU/mL。【経過】救急外来受診5時間後に意識状態・呼吸状態も悪化したため人工呼吸器管理とした。腹部・上肢・下肢の紫斑が急激に拡大して足背動脈も触知不可能になった。血液検査再検にて、WBC:4000/μL、CRP:10.5mg/dL、K:9.3mmol/L、CK:6234IU/mLであった。敗血症性ショックが疑われICUでの集学的治療を施行したが、救急外来受診15時間後に死亡となった。エンドトキシン陽性。血液培養・便培養からはVibrio vulnificusが検出された。紫斑部の皮膚生検による病理組織像では、短桿菌・桿菌が血管周囲でカフ状に存在し、びまん性に広がっていた。培養結果も合わせてVibrio vulnificus感染症による敗血症性ショックと確定診断した。【考察】Vibrio vulnificus敗血症は死亡率が55-75%という予後が非常に不良な疾患である。本症例のように、肝疾患を主としたcompromised hostが魚介類を食した後に皮膚病変を伴う消化器症状や下肢痛を有した場合、Vibrio vulnificus敗血症を念頭に置き、治療する必要がある。【結語】Vibrio vulnificus敗血症の典型例を経験した。
索引用語 Vibrio vulnioficus感染症, 敗血症性ショック