セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他8

タイトル 消P-701:

VacAはCHOP発現を介して胃上皮細胞アポトーシスを誘導する

演者 赤澤 祐子(長崎大病院・消化器内科)
共同演者 磯本 一(長崎大病院・消化器内科), 松島 加代子(長崎大病院・消化器内科), 山口 直之(長崎大病院・消化器内科), 塩澤 健(長崎大病院・消化器内科), 大仁田 賢(長崎大病院・消化器内科), 竹島 史直(長崎大病院・消化器内科), 平山 壽哉(長崎大熱帯医学研究所・細菌学), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科)
抄録 【目的】Vac Aは、H.pyloriのcolonizationや胃潰瘍形成の病態に関与する空胞化毒素である。Vac Aは胃上皮細胞にアポトーシスを誘導し、慢性胃疾患の病態に寄与していると考えられる。小胞体(ER) stressは様々な慢性炎症性疾患における細胞傷害に関連しており、アポトーシスを誘導するが、Vac Aによる胃上皮アポトーシスへの関与やH.pylori感染胃粘膜における発現は検討されていなかった。今回我々は、VacAによる胃上皮細胞アポトーシスに小胞体ストレスが寄与しているかを検討すると伴に、H.pylori陽性・陰性胃生検組織中のER stressマーカー発現の違いについて検討を行った。【対象・方法】AZ521細胞を用いVacA 120 nM単独, またはH.pyloriのウレアーゼ活性により産生され、VacAの細胞毒性発揮に寄与する塩化アンモニウム 5 mMと同時に投与した。ERストレスマーカーをreal time PCRで検討した。CHOPはsiRNAを用いてknock downされた。アポトーシスはDAPI染色で評価された。またH.pylori陽性・陰性患者において前庭部胃粘膜から生検し、RNAを抽出後ERストレスマーカー(CHOP, GADD34, GRP78)を解析した。【成績】培養胃上皮細胞AZ521では、Vac A単独投与にてGADD34が上昇した。またCHOPはVacA+塩化アンモニウムによりmRNA,蛋白発現ともに誘導された。CHOP siRNAは、Vac AによるAZ521細胞のアポトーシスを有意に抑制した。さらにH.pylori陽性胃粘膜では、H.pylori陰性患者と比較して、GADD34, GRP-78の有意な上昇が見られた。【結論】H.pylori関連胃炎においてはER stressマーカーが有意に上昇していた。In vitroではCHOP発現がVacAによる胃上皮細胞アポトーシスに寄与していると考えられた。
索引用語 Vac A, 小胞体ストレス