セッション情報 ランチョンセミナー(消化器病学会)

GERD研究の最先端

タイトル ラン17-1:

食道重層扁平上皮細胞培養系の新規確立と酸・胆汁酸のタイト結合への影響

演者 大島 忠之(兵庫医大・内科(上部消化管科))
共同演者
抄録 GERDでは、酸や胆汁酸の逆流による食道上皮バリア機能低下が胸やけや知覚異常に関与していると考えられるが、これまで重層扁平上皮細胞層をin vitro で評価できる方法がなく、詳細に検討できなかった。今回、我々は強固なバリア機能を有する正常食道扁平上皮細胞層モデルを開発した。扁平上皮細胞層は、単層食道細胞と比べてヒト食道上皮の遺伝子発現に最も類似していることがDNAマイクロアレイ解析により明らかとなった。酸刺激でバリア機能は傷害され、食道内逆流胆汁に含まれるグリココール酸とタウロコール酸は、酸性下でのみバリア機能を傷害した。酸や胆汁酸刺激でタイト結合(TJ)機能に重要な非可溶性画分のTJ蛋白(claudin-4)発現が、バリア機能低下と共に経時的に特異的に減少し、顆粒層での発現局在が特異的に変化した。基底上層のTJ蛋白はバリア機能を有さず、顆粒層のTJ蛋白がバリア機能形成に重要であり、細胞間間隙拡大(DIS)はバリア機能形成には関与しないと考えられた。GERD患者の生検組織においてもclaudin-4の局在変化がみられ、顆粒層のclaudin-4の局在がバリア機能制御に重要であることが明らかとなった。本講演では、細胞間ジャンクション機能と疾患の関連について概説したい。
索引用語