セッション情報 ランチョンセミナー(消化器病学会)

GERD研究の最先端

タイトル ラン17-2:

病理組織検体中の柵状血管:バレット食道に固有な組織所見

演者 相田 順子(東京都健康長寿医療センター研究所・老年病理学研究チーム)
共同演者
抄録 背景: 欧米で急増する原発性食道腺癌の発生母地であるバレット食道(BE)は、近年関心が高まっている。BEの診断上重要な食道胃接合部の定義は、本邦では内視鏡学的に柵状血管下端と定義されている。今回、柵状血管がBEの組織学的診断の指標となるかを検討し、新知見を得たので報告する。
材料と方法: 剖検20例(中・下部食道、胃)とEMR86例(BEおよび胃上部)を用い、各症例から1枚のHE染色切片により検討した。粘膜内および粘膜下層内の静脈の短径を測定し、下部食道以外には存在しなかった、径100μm以上の粘膜内静脈を病理学的柵状血管と定義し、EMR標本上で検討した。またBEの組織学的指標である固有食道腺と導管、扁平上皮島、二重化筋板についても同様に検討した。
結果: 粘膜内の静脈径計測結果の概要は図に示した。柵状血管は、short-segment BEで78%、long-segment BEで63%、BE全体では71%に観察された。他の組織学的指標は、固有食道腺と導管が33%、扁平上皮島は18%、二重化筋板は71%に観察された。以上の3つと病理学的柵状血管の4つの指標のうちいずれか一つが観察できたBEは88%であった。
考察: 今回の結果は1切片によるもので、通常EMR標本は2mm幅で全割されることから、4つの指標を用いればEMR標本ではほぼ全例でBE の診断が可能であると思われた。
索引用語