抄録 |
C型肝炎に対する治療は近年急速に進歩を遂げている。C型肝炎の発見とほぼ同時期の1992年よりインターフェロン(IFN)療法が保険適応となり、C型肝炎が治ること(著効)が明らかとなった。一方IFN単独療法ではセロタイプ2型或いは低ウイルス量症例では著効が得られやすいが、本邦で最も多いセロタイプ1型高ウイルス量症例では著効率は10%前後であった。うつ病、間質性肺炎などの副作用報道もありその後10年近くの治療は停滞感があった。しかし2001年のリバビリン(RBV)の登場、特に2004年ペグインターフェロン(Peg-IFN)とRBV併用療法が保険適応となった以降は、これまでの停滞感を打ち破る急速な治療効果の向上が得られている。1型高ウイルス量症例に対して48週間のPeg-IFN+RBV併用療法により約50%で著効が得られ、特に治療開始12週間までにウイルス消失が得られれば著効率が高いこと、ウイルス消失の遅い症例には治療期間を72週まで延長することにより著効率が上がる事も示され、Response-guided therapyの概念が確立された。さらに現在は代償性肝硬変症へと適応を広げ、より多くのC型肝炎症例へ治療が行われている。2011年には新規治療としてPeg-IFN+RBV+Telaprevir3剤併用療法が保険適応となり治療は新たな局面を迎えている。治験成績では1型高ウイルス量初回治療例で73%、前回再燃例で88%、前回無効例で34%と治療効果はさらに向上した。一方副作用として貧血、皮膚障害が以前より強く起こるためより慎重な治療が求められる上、その他にも留意、対処すべき副作用が多いようである。また治療費の面で問題のあったIFN療法に対して2008年よりIFN治療費助成制度が開始され、治療に関する制度面でのサポートにより迷っていた多くの症例でIFN療法を始めるきっかけとなった。3剤併用療法でも助成制度は対応しているが専門性の高い治療であり、3剤併用療法を行える施設は限られているため、各地域では病診連携を構築し遅滞なく患者を治療することが求められている。 |