セッション情報 シンポジウム1(消化器病学会・肝臓学会合同)

肥満と消化器疾患

タイトル 消S1-4追1:

H. pylori 除菌は肥満の原因となるか?~除菌後10年の長期経過におけるBMI及び脂質異常症に関する検討~

演者 今田 貴之(日本鋼管福山病院・内科)
共同演者 武 進(国保福渡病院・内科), 水野 元夫(広島市民病院・内視鏡科)
抄録 【目的】H. pylori の除菌が肥満の原因となり、それに伴い生活習慣病が発症するリスクが高まるとの報告があるが、一定の見解は得られていない。さらにその多くは1~2年間ほどの短期間の経過観察での報告で、長期間の経過観察での報告はわずかである。そこで除菌後10年間以上の長期経過観察例を対象に、H. pylori 除菌治療後のBMI(body mass index)の推移を調べ、H. pylori 除菌が肥満の原因となりうるかについて検討した。【方法】当院でH. pylori 除菌治療を行い成功し10年以上経過観察している60歳以下の男性435例(以下成功群)と検診にてH. pylori 陽性で除菌を行わず10年以上経過観察している60歳以下の男性167例(以下感染持続群)の2群を対象にBMIの推移および脂質の推移を検討した。さらに観察開始前のBMIで非肥満群(BMI<25)、肥満群(BMI≧25)の2群に分類し体型別でのBMIの推移についても検討した。【結果】除菌前に比べ10年後、 BMIは成功群で平均0.65、感染持続群で0.27増加し、成功群では感染持続群に比べ有意に増加した(p <0.05)。体型別の検討では非肥満群は同様の結果であったが、肥満群では有意な変化はみられなかった。血清総コレステロール値、HDL値、LDL値の変化については両群間で有意差は認めなかったが、中性脂肪値悪化者の割合は成功群30.0%、感染持続群12.8%で成功群は有意に高かった(p <0.05)。【結論】H. pylori 除菌治療後10年間の長期観察では、成功群では感染持続群に比べBMIの有意な増加がみられた。肥満群ではBMIの増加はなく、非肥満群で除菌後のBMI上昇に注意が必要である。しかしBMIの増加は軽度で除菌治療が高度の肥満の原因となる可能性は低いと考えられた。脂質に関しては除菌成功後に中性脂肪値の悪化に注意が必要である。
索引用語 H. pylori, BMI