セッション情報 |
シンポジウム1(消化器病学会・肝臓学会合同)
肥満と消化器疾患
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タイトル |
消S1-7:大腸腺腫と,内臓脂肪および動脈硬化指標との関連の検討
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演者 |
山地 裕(東京大・消化器内科) |
共同演者 |
光島 徹(亀田メディカルセンター幕張・消化器科), 小池 和彦(東京大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】肥満および内臓脂肪が大腸腫瘍の危険因子であることが明らかとなってきている.一方,内臓脂肪蓄積は心血管性疾患の病因と考えられているが,動脈硬化の進展と大腸腫瘍のリスクとの関連は明らかでない.検診受診者を対象に検討した.【方法】亀田総合病院附属幕張クリニックの人間ドックにおいて大腸内視鏡検診と,CTによる内臓脂肪面積(VFA)測定,および動脈硬化指標として足関節上腕血圧比(ABI)と脈波伝播速度(PWV)測定を行った809名(男556名,女253名,平均年齢55.9才)を対象とした.これら指標と,初回大腸内視鏡所見について検討した.またこれらのうち頸動脈エコー検査を施行した425名について,エコー所見との関連を検討した.【成績】大腸腺腫は140名,17.3%に認められた.内臓脂肪面積(VFA)別の大腸腺腫の発見率は,50cm2未満では大腸腺腫10%,50~100cm2で12%,100~150cm2で20%,150~200cm2で25%,200cm2以上で29%と,VFAが増加するほど,大腸腺腫のリスクが増大した(p<0.001).脈波伝播速度(PWV)については,1000 cm/sec未満で大腸腺腫0%,1000~1400 cm/secで11%,1400~1800 cm/sec で22%,1800~2200 cm/secで38%,2200 cm/sec以上で45%と,やはり強い関連が認められ,PWVが増加すなわち動脈硬化の進展するほど,大腸腺腫のリスクが増大した(p<0.001).足関節上腕血圧比(ABI)および頸動脈エコー所見とは明らかな関連が認められなかった.性,年齢,VFAおよびPWVを含めた大腸腺腫のリスクに関する多変量解析においては,いずれも有意な因子であり,男性,高齢,VFA増加,PWV増加が危険因子であった.【結論】内臓脂肪の蓄積とPWVを指標とした動脈硬化の進展は,ともに大腸腺腫の危険因子であると考えられた. |
索引用語 |
大腸腺腫, 動脈硬化 |