セッション情報 シンポジウム1(消化器病学会・肝臓学会合同)

肥満と消化器疾患

タイトル 消S1-9追3:

大腸ポリープ癌のリスク要因としての生活習慣病・肥満の重要性

演者 廣田 茂(岩手医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 菅井 有(岩手医大・分子診断病理学), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】近年、大腸線腫や癌のリスク要因として生活習慣病・肥満が関連することが明らかになってきている。一方、大腸ポリープ切除例において組織内に癌を認める例もみられるが、このような例における生活習慣病・肥満との関連性については十分に検討されていない。【方法】2002年から2009年までの7年間に岩手医科大学消化器・肝臓内科で大腸ポリープ切除目的に入院した801名(女性207名、17-86才;平均64.9才、男性594名、28-89才;平均64.4才)を対象とした。内視鏡的に切除し病理組織検査にて組織内に癌を認めたものをポリープ癌と定義し、背景にある生活習慣病(糖尿病(DM)、高血圧(HT)、脂質異常症(HL))および肥満(BMI)とポリープ癌との関係の検討を行なった。【成績】大腸ポリープ切除801例のうち135例(16.9%)にポリープ癌を認めた。BMI 25以上の割合は30.2%(女性32.4%、男性29.5%)であり、そのうち25.2%(女性31.3%、男性22.9%)にポリープ癌を認めた。女性、男性ともBMI 25以上の群にポリープ癌を多く認めた(女性OR=2.587 95%CI= 1.292-5.178、男性OR=2.046 95%CI=1.298-3.227)。BMI 25以上の群において女性では生活習慣病の有無とポリープ癌には明らかな関連を認めなかったが、DM合併例にポリープ癌が多くHT単独では少ない傾向を示した。男性では生活習慣病有りとポリープ癌に関連を認め (OR =2.274 95% CI=1.129-4.490)、DM単独では少ないがHT単独で高く、HT・DM合併例、HT・HL合併例ではさらに高くなった。【結論】ポリープ癌を有する例では肥満の頻度が高く、背景となる生活習慣病の主座が女性と男性では異なり、女性はDM中心、男性はHT中心であった。
索引用語 大腸ポリープ(癌), 生活習慣病