セッション情報 シンポジウム1(消化器病学会・肝臓学会合同)

肥満と消化器疾患

タイトル 肝S1-11:

NAFLDにおける肥満度からみた臨床病理学的検討

演者 松下 典子(東京女子医大・消化器内科DELIMITER東京女子医大・女性医師・研究者支援センター)
共同演者 徳重 克年(東京女子医大・消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 【目的】日本人は肥満に弱く、軽度のBMI上昇でもメタボリック症候群を発症するとされている。今回、肥満度がNAFLDの病態におよぼす影響に関して、倹約遺伝子・アディポサイトカインを含めて臨床病理学的に検討した。【方法】1990~2011年に当院にて臨床病理学的に診断したNAFLDのうちBMI18.5以上の584例(男:女=313:271、平均年齢50.6歳)を対象とし、肝生検時のBMIで、1群(18.5≦BMI<25、195例)、2群(25≦BMI<30、245例)、3群(30≦BMI<35、97例)、4群(35≦、47例)に分けて検討した。臨床病理学的特徴、血清アディポサイトカイン値(adiponectin、IL-6、soluble-TNFreceptor-2;sTNFR-2)、β3-adrenergic-receptor(倹約遺伝子)のW64R遺伝子多型(SNP)などを比較検討した。【成績】1)BMIと共に上昇したのは(p<0.01)、ALT; 1群84.1/ 2群99.3/ 3群121.9/ 4群115.3、AST;59.9/62.7/68.6/71.6、中性脂肪;135/161/184/149、HOMA-IR; 4.4/5.3/5.9/7.2、線維化(F3以上%); 24.6/29.8/27.8/31.9、活動性(A2以上%); 59.2/65.7/78.4/89.4、脂肪化(S2以上%); 65.6/74.3/84.5/87.2。BMIと共に低下したのは肝生検時年齢であった(平均年齢;54.8/51.1/46.3/39.3、p<0.01)。2)アディポサイトカインの検討:血清adiponectin、IL-6、sTNFR-2値はBMIと相関を認めなかった。3)SNPの検討:BMI上昇と共に有意にArg mutation保有率が増加していた(Arg保有;BMI 25以下8%、BMI 25以上37.5%、p=0.03)。【結論】肥満がNAFLDに寄与する因子は、生活習慣のみでなく、遺伝的要因も大きい。肥満度の上昇と共にNAFLDの重症度は進行した。高度肥満例は、中年齢に多く、線維化が進行しており、今後、若年肝硬変の原因となることが予測され、早急な対応が必要である。
索引用語 NAFLD, BMI