セッション情報 | シンポジウム1(消化器病学会・肝臓学会合同)肥満と消化器疾患 |
---|---|
タイトル | 肝S1-12追4:非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)長期観察例からの肝発癌 |
演者 | 川村 祐介(虎の門病院・肝臓センター) |
共同演者 | 荒瀬 康司(虎の門病院・肝臓センターDELIMITER虎の門病院・健康管理センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター) |
抄録 | 【目的】腹部超音波(US)にて診断された非アルコール性脂肪性肝障害(Non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)を背景とした肝発癌の実態及び,その危険因子の検討. 【対象・方法】1997年1月より2010年12月までに当院肝臓センターおよび健康管理センターにてUSでの脂肪肝を基準に診断されたNAFLD 6,508を対象とし, Retrospectiveに肝発癌率及び,発癌危険因子につき検討した. 観察開始はUSにて脂肪肝と診断された時点とした. 観察期間の中央値は5.6年であった. 対象の背景は, 男性5,709例,女性799例, 以下中央値(範囲)で示すが年齢49(23-86)歳, Body Mass Index 24.8(15.9-45.1) kg/m2, アルブミン値 4.2(2.9-5.1)g/dL, AST 26 (11-516)IU/L, ALT 30(7-803)IU/L, rGTP 53(8-2,376) IU/L, 血小板数 22.6(2.7-55.4)×104/uL, 糖尿病合併536例(8.2%). 【成績】 (1)NAFLDからの肝発癌率 経過中肝発癌は16/6,508例(0.25%)に認められ, 累積発癌率は4年0.02%, 8年0.19%,12年0.51%であり,年率の肝発癌率は0.043%であった. (2)NAFLDからの肝発癌危険因子 NAFLDからの発癌危険因子につき多変量解析をした結果, AST≧40IU/L (ハザード比:8.20; 95%CI 2.56-26.26; P<0.001), 血小板数<15×104/uL(7.19; 2.26-23.26; P=0.001), 年齢≧60歳(4.27; 1.30-14.01; P=0.017), 糖尿病合併(3.21; 1.09-9.50; P=0.035)が独立因子として描出された. (3)肝発癌症例の16例の検討肝発癌例の観察開始から発癌までの期間は中央値で12.5年であった. 発癌時に背景肝の病理組織学的検討が施行された11例においてはNASH stage 4が3例, stage 3が2例, stage 1-2が3例であり,脂肪肝を伴わない肝硬変は1例に認められた.また,線維化を伴わない単純性脂肪肝の症例を2例認めた. 【結語】高齢で糖尿病を合併し,AST上昇,血小板低下を伴う脂肪肝症例では発癌リスクが高く厳重にフォローする必要性があると考えられた. |
索引用語 | NAFLD, HCC |