セッション情報 |
シンポジウム1(消化器病学会・肝臓学会合同)
肥満と消化器疾患
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タイトル |
消S1-15:減量手術が必要な高度肥満患者の肝臓病変
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演者 |
柿崎 暁(群馬大大学院・病態制御内科学) |
共同演者 |
橋爪 洋明(群馬大大学院・病態制御内科学), 関 洋介(四谷メディカルキューブ・きずの小さな手術センター) |
抄録 |
【目的】近年、肥満が社会問題化し、肥満を背景とした生活習慣病やメタボリック症候群の患者数が急増している。肥満が生活習慣病に及ぼす影響を検討する上で、肥満がより顕著な高度肥満患者を解析することは有用であると考えられ、今回我々は、高度肥満における肝疾患に関して検討を行った。【対象及び方法】2009年10月から2010年12月の間に、高度肥満に対する腹腔鏡下胃バイパス術を目的に受診した連続する日本人53例(男性29例、女性24例、平均年齢41.0 ± 11.0歳)を対象にした。手術の適応は、アジア太平洋肥満外科学会の指針に従いBMI 37以上、あるいはBMIが32以上で糖尿病を合併するもの、または糖尿病以外の肥満に起因した合併症を2つ以上持つものとした。全例術中に肝生検を施行した。血液生化学検査、病理組織、内臓脂肪面積、血清サイトカインアレイを比較した。【結果】術前平均体重120.6 ± 27.5 kg、BMI 43.2 ± 8.0 kg/m2であった。肝生検では、53例中43例(81.1%)にNAFLDを認め、その全例がNASHであった。NASH群と非NASH群で比較すると、年齢、性別、体重、BMI、体脂肪率、ウエスト・ヒップ比に差を認めなかった。AST、ALT、HbA1c、空腹時インスリン値、HOMA-IR、血清鉄、LDL-cho、内臓脂肪面積はNASH群で有意に高かった。糖尿病、高血圧の有病率に有意差は認められなかったが、NASH群で糖尿病の有病率が高い傾向にあった。血清サイトカインアレイでは、NASH群で、Macrophage Inflammatory Protein 1-β (MIP-1β, CCL4)が有意に高く、TNF-α、IL-8が高い傾向にあった。【結論】日本人高度肥満患者では、高率にNASHを合併し、欧米の報告に比べ高かった。HOMA-IR、内臓脂肪面積、MIP-1βが高度肥満患者におけるNASH合併の予測因子となった。日本人では、欧米人と比較しより早期に肥満治療に介入する必要があると考えられた。 本研究は、群馬大学と四谷メディカルキューブの共同研究で、笠間和典、山崎勇一両名の協力のもとに行われた。 |
索引用語 |
高度肥満, 非アルコール性脂肪性肝炎 |