セッション情報 |
シンポジウム1(消化器病学会・肝臓学会合同)
肥満と消化器疾患
|
タイトル |
消S1-16:高度肥満症患者に対する腹腔鏡手術:NAFLD改善の観点から
|
演者 |
太田 正之(大分大・1外科) |
共同演者 |
平下 禎二郎(大分大・1外科), 北野 正剛(大分大・1外科) |
抄録 |
【はじめに】BMI≧35kg/m2の高度肥満症患者には長期的にみれば内科的治療は無効とされ、海外では積極的な外科的治療が行われている。わが国においても2000年代に入り、腹腔鏡手術や内視鏡的治療が導入され、2009 年には70例の腹腔鏡下肥満外科手術が施行された。今回、当科で施行した腹腔鏡下肥満手術症例のNAFLDの改善効果について検討したので報告する。【方法】当科において2005年8月から腹腔鏡下調節性胃バンディング術(LAGB)31例、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(LSG)20例を施行した。そのうち術後1年以上経過し、手術前後のCTを撮影した11例(LAGB5例、LSG6例)を対象とした。それら11例は平均年齢40.8歳、男性5例、女性6例であり、平均術前体重124.2kg、BMI 47.3kg/m2であった。また肥満関連健康障害は糖尿病2例、高血圧7例、高脂血症4例、睡眠時無呼吸症候群8例などを認めた。11例中5例は手術直前に入院食事療法を行い、引き続き手術を施行した。NAFLDの診断は肝脾CT値比(L/S比)<0.9とし、手術前のCT撮影日と手術後のCT撮影日の体重、L/S比、血液生化学データを比較検討した。【結果】手術前後のCT撮影期間は平均25ヵ月であり、平均44.4kg体重が減少し、過剰体重減少率(%EWL)は69.1%であった。L/S比<0.9にて11例中7例が術前NAFLDと診断され、全例ALTの上昇を認めた。しかしL/S比0.95でNAFLDと診断されなかった1例もALTの軽度上昇を認めた。L/S比は手術後に全例で上昇し、全例L/S比≧1.0となった。また手術後にAST、ALTは術前に比べ有意に低下した(AST 37.3→18.5IU/L、ALT 48.8→13.2IU/L)。良好な体重減少により、その他の肥満関連健康障害も高率に改善ないしは治癒した。【結語】高度肥満症に対する腹腔鏡手術はNAFLDを含めた肥満関連健康障害に有効な治療法であり、今後わが国においてもますます普及していくものと思われた。 |
索引用語 |
腹腔鏡下肥満手術, NAFLD |