セッション情報 |
シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)
C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子
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タイトル |
肝S2-1:HCV全長解析によるIL28B SNPと独立して治療効果を規定するウイルス因子の検討
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演者 |
前川 伸哉(山梨大・1内科) |
共同演者 |
坂本 穣(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科) |
抄録 |
【目的】宿主のIL28B SNPはPEG-IFN/RBV併用療法における治療反応性を規定することが明らかとなったが、同SNPはさらにウイルスの存在様式にまで影響を与える可能性が示唆されつつある。一方で、同じIL28BSNPを有していても治療反応性が異なる症例を認め、このような場合に最終的な治療効果を規定している因子が何なのか明らかとなってはいない。本研究においては、ウイルス全ゲノム解析を含めた検討を行い、IL28B SNPとは独立に治療効果を規定する因子を検索した。【方法】(1)PEG-IFN/RBV治療を導入したGenotype1b 124症例における治療開始後12週の反応性に関連する因子として、全長HCV配列、ならびにIL28B SNP解析による検討を行った。(2) IL28B SNP毎に特徴的なウイルスゲノム配列をHCV全長解析により検討した。(3)IL28B SNPメジャーアレルにおいて、最終治療効果に関連する因子をHCV全長解析により検討した。【成績】 (1) 治療開始後のウイルス動態と全HCV配列を検討すると、RVRにはISDR領域内NS5Aaa.2224-2248内のアミノ酸変異数(p=0.0004)、nEVRにはコアaa.70多型が著明な相関を示した(p=7.0E-08)。一方、IL28B SNPメジャー(rs8099917 T/T)の比率は、治療反応群毎に層別化され(RVR 100%、cEVR-8w 94%、cEVR-12w 87%、pEVR 78%、nEVR 18%)たが、特にnEVRにおいて顕著な低下を認めた。(2) IL28B SNP毎に HCV全長配列を比較すると、コアaa.70が顕著にSNP毎に異なる領域として抽出された(p=9. 1E-06)。(3)IL28B SNPメジャーアレルにおいて、最終治療効果に関連する因子をHCV全長解析により検討すると、IRRDRと合致するNS5Aaa.2340-2382が抽出された(p=7.7E-07)。【考案】IL28BSNPとウイルス遺伝子は共にPEG-IFN/RBV治療反応性に強く関連する因子であった。また、両因子の間には、特にコア遺伝子とIL28B SNPに顕著な関連性があることがHCV全長解析により示された。一方、IL28B SNPとは独立してNS5A-IRRDRが治療効果を規定しているウイルス領域であることが明らかとなった。 |
索引用語 |
IL28B, IRRDR |