セッション情報 シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子

タイトル 肝S2-2:

慢性C型肝炎治療に及ぼすIL28BおよびITPAの遺伝子多型とHCVウィルスゲノム変異の影響

演者 越智 秀典(広島大・消化器・代謝内科DELIMITER理化学研究所・横浜研究所・ゲノム医科学研究センター)
共同演者 今村 道雄(広島大・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科DELIMITER理化学研究所・横浜研究所・ゲノム医科学研究センター)
抄録 【目的】C型肝炎ウィルス(HCV)1b型はペグインターフェロン(PEG-IFN)・リバビリン(RBV)療法の著効率が50%前後と低く臨床上の大きな問題点となっている。今回我々はIL28B多型及びITPA多型とHCVの ISDR及び core領域の変異との関連性を治療効果への影響に着目して検討した。【方法】PEG-IFN・RBV治療を施行した慢性C型肝炎(Genotype1b)813例[sustained viral responder(SVR)366例、transient responder(TR)176例、non-responder(NR)271例]についてIL28B多型(rs12979860)およびHCVゲノムのISDR及びcore領域の変異とIFN治療効果の関連性について検討した。また、ITPA多型(rs1127354)について貧血および治療効果に対する影響について検討した。【結果】IL28Bメジャーアレルホモ遺伝子型はcore70野生型と関連しており(78%vs54%, p=1.6E-6)、ISDRの変異型とも有意な関連性を認めた (67% vs 83%; p=0.007)。多変量解析の結果、SVRに対してIL28B多型(p=4.0E-08, OR 4.98)とcore70変異(p=0.016, OR 0.53)は独立して関連しており、年齢(p=6.6E-7, OR 0.43)およびウィルス量(p=0.022, OR 0.77)も有意な因子であった。一方NRに対してはIL28B多型(p=2.0E-8, OR 0.23)と年齢(p=8.3E-3, OR 1.55)が有意に関連していた。治療開始4週のウィルス量低下に対してはIL28B多型(p=1.4E-8)、core70変異(p=1.3E-3)、ISDR(p=1.9E-3)、ウィルス量(1.2E-4) 、血小板数(p=7.2E-5)、ALT(p=8.9E-3)、γGTP(2.1E-3)と関連していた。ITPA多型は治療開始4週のHb減少量に有意に相関していたが、治療終了時には有意ではなかった。またRBV減量を要した割合についても有意な関連性を認めたが、治療効果への影響は多変量解析の結果marginalなものであった(p=0.10)。【結論】IL28B多型はHCVの変異と関連しているが両者は治療効果に対して独立して影響することが判明した。一方ITPA多型はRBV誘発性貧血に対して保護的に働くが、治療効果への影響は軽微であった。
索引用語 HCV, SNP