セッション情報 シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子

タイトル 肝S2-3:

C型慢性肝炎に対するPEG-IFN/RBV48週および72週投与の治療効果に関連するIL28BおよびITPA 遺伝子多型の解析

演者 伊藤 清顕(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
共同演者 正木 尚彦(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
抄録 【目的】慢性C型肝炎genotype 1b型、高ウイルス量症例に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法(PEG-IFN/RBV)に関して、Late Virological Response症例に対しては72週間の延長投与が行われている。しかし、投与終了後の再燃を認める症例も多く、治療効果を予測する因子の探索が重要である。本研究ではPEG-IFN/RBV48週標準投与と72週の延長投与において、IL28BおよびITPA遺伝子多型を含む各種臨床パラメーターと治療効果との関連を検討した。【方法】多施設共同研究としてPEG-IFN/RBV を行ったC型慢性肝炎genotype 1b、高ウイルス量223例を対象とした。そのうち、PEG-IFN/RBV48週投与を行った163例と72週投与を行った60例に分けて解析を行った。72週の延長投与はガイドラインに従い、投与開始12週後にHCV RNA量が前値の1/100以下に低下するがHCV RNAが陽性で、36週までに陰性化した症例に対して行った。48週投与に関してはSVR群とnon-SVR群に関連する因子を、72週投与に関してはすべての症例で治療終了時にウイルス陰性であったためSVR群とTVR群に関連する因子をそれぞれ比較した。【成績】48週投与症例において多変量解析で検討した結果、SVRに関連する独立因子は血小板数(OR 1.14、P=0.005)、ALT値(OR 1.01、P=0.049)、HCV RNA量(OR 0.31、P=0.004)、IL28B [rs8099917:TT](OR 12.57、P<0.0001)であった。ITPA遺伝子多型に関してはP値が0.160と有意差を認めなかった。一方、72週延長投与症例においてSVR群とTVR群で多変量解析を行った結果、ITPA(rs1127354:CA+AA)のみがSVRに関連する独立因子であり(OR 16.1、P=0.024)、IL28BはSVRとの関連を認めなかった(P=0.303)。【結論】PEG-IFN/RBV48週標準投与症例においては、血小板高値、ALT高値、HCV RNA量低値およびIL28B遺伝子多型がSVRと関連していた。72週投与に関してはITPA遺伝子多型のみがSVRとの関連を認め、治療効果予測因子として有用であると考えられた。
索引用語 IL28B, ITPA