セッション情報 シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子

タイトル 肝S2-6:

血小板低値のC型慢性肝疾患症例におけるインターフェロン治療に関する検討

演者 榎本 平之(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
共同演者 池田 直人(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【目的】血小板低値のC型慢性肝疾患症例では、インターフェロン(IFN)やリバビリン(RBV)の十分な投与が困難な例が多い。われわれは血小板低値症例に対する脾摘、あるいは部分脾動脈塞栓術(PSE)の意義について検討した。【方法】(1)当院でC型肝硬変にPEG-IFN/RBV併用療法を行った87例(非処置63例、脾摘22例、PSE 2例)について、血小板数、薬剤コンプライアンス、SVR率に関して検討した。また同意を得た症例ではISDR変異数、Core 70 変異の有無、IL28bおよびITPAの遺伝子多型を検討した。(2)全国の施設に対し、脾摘およびPSE施行症例のアンケート調査を行った。【結果】(1) 脾臓の処置で血小板数は有意に増加し、PEG-IFN, RBVのコンプライアンスの向上が認められた。一方肝硬変例(1型 73例、2型14例)では1型/high以外でのSVR率は42%と比較的良好も、1型/highでは17%と低値であった。また1型/high 症例では、ISDR変異数、Core70変異、IL28b の多型がSVR率に影響し、特にIL28b のhetero/minor homo症例でのSVR率は9%と低く、脾臓の処置症例でも有効率は改善しなかった。ITPAの遺伝子多型の検討では、major homo症例では貧血の副作用とは逆に、治療期間中の血小板低下が軽度であった。(2)脾摘・PSE合計1262例中11例(0.9%)の死亡が報告された(脾摘7/788、PSE 4/474)。二次アンケートの回答を得た10例中9例の死因は、感染症に関連していた(肺炎球菌1例、MRSA 3例、不明5例)。【まとめ】脾摘やPSEにより治療コンプライアンス向上とSVR率の改善が認められた。ただし1b/HighでIL28b, Core 70, ISDR等が治療抵抗性を示唆する例では、脾臓の処置後でもSVR率の向上は期待し難く、プロテアーゼ阻害剤併用などの工夫が必要と思われた。また脾臓の処置には合併症リスクが存在すること、血小板低下リスクへの評価にITPA遺伝子の多型が有用な可能性が示唆された。【謝辞】アンケート調査にご協力いただいた全国の施設に感謝します。
索引用語 血小板低値, インターフェロン