セッション情報 |
シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)
C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子
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タイトル |
肝S2-7追2:HCV関連生体肝移植症例の予後に関わる因子の解析、特にIL28BSNPの関与について
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演者 |
柴田 英貴(長崎大大学院・消化器病態制御学) |
共同演者 |
市川 辰樹(長崎大大学院・消化器病態制御学), 中尾 一彦(長崎大大学院・消化器病態制御学) |
抄録 |
【目的】生体肝移植は末期肝疾患の治療法として最も有効な手段である。しかし、最も症例の多いHCV関連例において他疾患よりその予後が悪いことが知られている。また最近HCV感染に関してIL28BSNPの重大な関与が指摘されており、生体肝移植例においても同様に報告されている。当科でもIL28BSNPの判定を2010年3月から開始したのでその結果を報告する。【方法】当院で2010年3月までに行われた生体肝移植は141例、成人例は126例であった。肝癌合併は53例に認められ、2例がミラノ基準を逸脱していた。HCV関連は48例(2例は再移植)であった。HCV感染レシピエントとそのドナーは承諾を得られた症例のみPBMCからDNAを抽出しIL28BSNPを当院においてパイロシークエンス法で判定した。【成績】当院でも、成人初回生体肝移植例を対象に、HCV関連46例と他成人例の生命予後を比較した場合、HCV例において有意に生存期間が短い。この2群間ではMELDやCPスコアに有意差はないが、年齢は有意にHCV群が高かった。またDM合併率、HCC合併率もHCV群が高い。次にHCV関連症例において、生存に寄与する因子を検討すると、年齢、DM、HCCは関与が無く、レシピエントのHTLV-1感染が有意に関係することが分かった。IL28BSNP解析(rs8099917)は、34例に解析を行った。レシピエントがMAJOR(TT)型が27例、MINOR(TG+GG)7例、ドナーがMINOR型6例であった。今回の検討でドナー、レシピエント共にMAJOR型(25例)と少なくとも一方がMINOR型(9例)で比較した。peg-IFN+Ribavirin治療にて効果判定可能な21例のうちSVR例は8例あるが全例両者MAJOR型であり、片方MINOR型の5例はいずれもnull-responderであった。IL28BSNPと生存率に有意差は認められていない。【結論】成人HCV関連生体肝移植症例の予後とIL28BSNPの関係は認めなかった。しかしpeg-IFN+Ribの治療効果には既報の通り、大きな影響を与えており、今後も長期経過で生存率に影響を与える可能もある。 |
索引用語 |
HCV, IL |