抄録 |
【目的】当院ではHCV-1b Coreアミノ酸置換が抗HCV療法難治要因かつ肝発癌に影響することを報告してきた。今回は、C型肝炎の治療抵抗性と肝発癌に影響するウイルス・宿主要因について検討した。【方法】〔検討1〕当院でRBV併用療法48週間投与を完遂したHCV-1bの474例と、〔検討2〕PEG-IFNα2b/RBV/Telaprevir(TVR)を施行されたHCV-1の81例(HCV-1b 80例)(12週治療20例,24週治療61例)を対象として治療効果予測因子を検討。〔検討3〕RBV併用療法24-48週投与でnon-SVRであったHCV-1bの352例と、〔検討4〕IFN関連療法でSVRとなった1273例(HCV-1b/2a/2b;664/433/176例)から肝発癌に寄与する要因を検討。各検討において、ウイルス要因のNS5A-ISDR/IRRDR変異数・Core aa70/91置換、宿主要因のIL28B rs8099917遺伝子多型を含めて多変量解析を施行。【結果】〔検討1〕RBV48週:SVR率54%,NVR率24%。多変量解析でSVRの要因はIL28B(TT)とISDR(≧2)、NVRはIL28B(non-TT)とCore aa70(Mutant[M])が抽出された。〔検討2〕PEG-IFN/RBV/TVR:SVR率64%。多変量解析でSVRの要因はIL28B(TT),Core aa70(Wild[W])が抽出された。24週治療例の前治療歴別SVRは初回治療76%,前治療再燃90%,前治療無効27%。前治療無効は、TT全体でSVRは50%、non-TT/aa70(W)で43%であったが、non-TT/aa70(M)で当院におけるSVR例は確認されなかった。〔検討3〕RBV併用療法non-SVR例からの肝発癌は、単変量解析でaa70(M),aa91(W),ISDR(≧2)が有意差を示し、多変量解析でaa70(M)が抽出された。〔検討4〕IFN関連療法SVR例からの肝発癌は、単変量解析で性別(男性),年齢(≧55歳),肝線維化進行度(F3以上),AST(≧39IU/l),aa70(M)が有意差を示し、多変量解析ではaa70(M),肝線維化進行度(F3以上)が抽出された。【結語】IL28B遺伝子多型,HCV-1b NS5A/Core領域は治療抵抗性に関与する。更に、Core領域は肝発癌にも影響している可能性が示唆された。 |