セッション情報 |
シンポジウム11(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
肝疾患に対する先端医療
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タイトル |
肝S11-1:320列面検出器CTを用いた肝perfusion CT
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演者 |
森口 理久(静岡がんセンター・画像診断科) |
共同演者 |
新槇 剛(静岡がんセンター・画像診断科), 遠藤 正浩(静岡がんセンター・画像診断科) |
抄録 |
<背景>近年登場した320列面検出器CTは、一度にほぼ全肝(最大16cm幅)をscanすることが可能で、helical scanで得られる画像のような撮影時差を生じることがないため、肝perfusion 解析への応用が期待されている。<目的>320列面検出器CTを用いて施行した肝perfusion CTの症例を後ろ向きに検討し、その有用性、問題点を明らかにする。また、今後の可能性につき考察する。<方法>対象:HCC、PVE(門脈塞栓術)後の症例、撮影方法:Scan mode;dynamic volume、造影剤投与法;前腕より350 mgI/mL Iopamidol 50 mLを5.0 mL/sで静注、撮影;間欠、23 scans、吸気息止め下、使用機器:320面検出器CT;Aquilion ONE(東芝メディカルシステムズ)、解析:ボディーパーフュージョンシステム(東芝メディカルシステムズ)<結果>全例で解析可能なデータが収集されていて、肝動脈および門脈の灌流量を視覚的・定量的に評価することができた。本検討により、(A)有用性(1)HCC vascularityの評価:(a)高分化型HCCの多血化部位、(b)TACE後HCCの局所再発;リピオドール集積部で指摘の難しい部位、をperfusion解析により診断することができた。(2)PVE後門脈塞栓域の視覚的・定量的評価:(c)領域別門脈灌流量、(d)通常のCTで門脈血流の残存が疑われる部位でも、perfusion解析にて十分塞栓されていること、を視覚的・定量的に評価することができた。(B)問題点(1)定量化における課題:(e)造影剤投与量;体重による造影効果の差、(f)適切な補正;完全に塞栓されていると思われる領域の門脈perfusion=0となっていない、などが明らかとなった。なお、肝perfusion CTの被曝線量は、ファントム実験において、helical scanの肝dynamic studyと同程度であった。<結論・考察>320列面検出器CTを用いた肝perfusion CTにより、克服すべき課題はあるものの、肝動脈および門脈灌流量の評価が可能となり、これまで以上に詳細な肝の血流情報を入手できるようになった。今後、Sorafenib治療の効果判定や血流を基盤とした肝機能解析への応用も期待される。 |
索引用語 |
肝perfusion CT, 320列面検出器CT |