セッション情報 シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子

タイトル 肝S2-11:

C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療反応性と肝組織及び末梢血液ISGs発現の関連性について

演者 本多 政夫(金沢大・消化器内科)
共同演者 酒井 明人(金沢大・消化器内科), 金子 周一(金沢大・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎(CHC)に対するインターフェロン(IFN)療法反応性には宿主因子・ウイルス因子の両者が関与している。これまでに我々は、IL28B遺伝子多型と肝組織ISGs発現の関連を解析し、IL28Bマイナーアレルでは肝内ISGs発現が高く、IFN療法抵抗性の要因となっている可能性を示した(Gastroenterology 2010)。今回は、末梢血液のISGs発現と治療効果との関連性を検討した。【方法】PegIFN+Rib併用療法を施行したCHC 症例168例を対象とした。85症例に於いて治療前の肝組織及び末梢血液の遺伝子発現プロファイリングをAffymetrics gene chip (133U Plus 2.0)にて解析した。さらに168例に於いて、治療前と治療開始2週後の末梢血ISGs(IFI44/IFIT1/MX)をTaqMan-PCRにて測定した。【成績】治療前の末梢血ISGs発現は肝組織と異なり、治療反応例(SVR+TR)と不応例(NR)を比較し有意差は認められなかった。また、治療前末梢血ISGs発現とIL28B遺伝子多型との関連性も認められなかった。一方、治療2週後の末梢血ISGs及びIL28Bの発現誘導は治療反応群で有意に高く、IFNによりISGsが誘導されるほど治療効果が良好であった。同一症例での治療前の肝組織と末梢血ISGs発現パターンを比較すると、IL28Bメジャーでは肝組織ISGs発現と末梢血ISGs発現は有意に相関し、末梢血の遺伝子発現は肝組織の遺伝子発現を反映していた。一方、IL28Bマイナーでは肝組織と末梢血ISGs発現が一致する関連性は消失しており、末梢血における遺伝子発現と肝組織における遺伝子発現が逆転する症例も認められた。【結論】IFN治療による末梢血ISGs発現誘導と治療効果との関連性が認められた。一方、治療前のISGs発現に関しては、肝組織ではIL28Bマイナーでは肝内高ISGs状態を呈し、IFN療法抵抗性の要因となっていると考えられたが、末梢血ISGs発現に関してはその関連性は認められなかった。その理由として、IL28Bメジャーとマイナーにおいて、肝組織と末梢血ISGs発現の関連性が異なっているためと考えられた。
索引用語 IFN, ISG