セッション情報 シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子

タイトル 肝S2-12追4:

インターフェロン関連遺伝子発現プロファイルは慢性C型肝炎治療効果予測に有用なマーカーである。

演者 村上 善基(京都大大学院・ゲノム医学センター)
共同演者 豊田 秀徳(大垣市民病院・消化器内科), 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】慢性C型肝炎治療の標準的な治療方法であるペグインターフェロンとリバビリン併用療法(以下併用療法)は難治例での奏功率は55%程度にとどまる。副作用等のため治療中断例もあるため、有用な治療効果予測が望まれている。治療効果予測因子は様々な解析がなされているが代表的なものとしてIL28Bの遺伝子多型は併用療法の無効例予測に有用なマーカーとして知られている。今回我々は肝組織にて発現している遺伝子解析を中心に慢性C型肝炎の治療効果予測のために有用なバイオマーカーの作成を試みた。【方法】今までに治療歴のない慢性C型肝炎患者71例(genotype1b, 100KIU/ml)より針生検にて肝組織を採取し、237種のインターフェロン関連遺伝子、470種のマイクロRNA発現解析をマイクロアレイにて行った。また同一患者のgenomic DNAを用いてIL28Bの遺伝子多型(rs8099917)解析を行なった。治療効果予測はROC解析を行ない、AUCと信頼区間を算出し、RandomForest解析によるGini係数にて各遺伝子の治療効果算出への寄与を評価した。【結果】併用療法を受けたC型慢性肝炎患者の治療効果別(著効(SVR)、再発(R)、無効(NR))の各種遺伝子発現プロファイルを作成した。これを元に多変量解析を用いて治療前における治療効果予測を行なった。SVR vs. R+NRの予測はHLA-A IFI27, IFI44, IFIT3, ISG15, MX1, USP18, rs8099917を判別モデルとして採用し、AUC 0.88 (0.77-0.98)であった。判別の寄与はインターフェロン遺伝子>IL28Bであった。SVR+R vs. NRではIFI44, PSMB10, miR-145, miR-542-5p, rs8099917を用いAUC 0.87(0.79-0.93) 、判別の寄与はインターフェロン遺伝子>マイクロRNA>IL28Bの順であった。【結論】肝組織中の遺伝子発現解析とIL28Bを組み合わせると精度の高い治療効果予測が可能で、新規薬剤を用いた治療の適応の判断材料としても有用である。
索引用語 HCV, IFN