セッション情報 |
シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)
C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子
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タイトル |
肝S2-13:IL-28B遺伝子周囲に存在するSNPsの機能解析と臨床的意義
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演者 |
杉山 真也(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センターDELIMITER名古屋市立大大学院・病態医科学) |
共同演者 |
田中 靖人(名古屋市立大大学院・病態医科学), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター) |
抄録 |
【目的】C型慢性肝炎のインターフェロン治療に関連する因子として,IL-28B周囲のSNPsを報告した(Nat Genet. 2009).しかし,この遺伝子周辺には強い連鎖不平衡が認められ,この中のどのSNPsが重要なものであるかは不明のままである.そこで,IL-28B遺伝子近傍に存在するSNPsについて個々の機能解析を実施した.【方法】メジャーホモとマイナーホモ検体について,IL-28Bを含む周囲10kbのゲノムをクローニングした.転写調節領域に存在するSNPs(rs72258881,rs4803219)には,レポーターアッセイとリアルタイムPCRで解析した.IL-28BのイントロンSNPs(rs28416813, rs11881222)については,スプライシング機能をPCRとmRNAのシークエンスにより確認した.エキソン内の非同義置換となるSNPs(rs8103142)については,タンパクの発現精製を実施し,IFNラムダ受容体以下のISRE活性を測定した.【結果】イントロンの2つのSNPsの有無に関係なく,IL-28BのmRNAは正常にスプライシングされた.IL-28Bの野生型遺伝子と非同義置換となるSNPを導入した遺伝子を発現,精製したものでIFNラムダ受容体とその下流のISRE活性を比較したが,ISRE活性に違いはなく,IFNラムダ受容体とその活性には影響しなかった.一方,転写調節領域の2つのSNPsを導入したものでは転写活性が約60%に低下した. 特に,(TA)nのリピート配列を形成しているrs72258881の影響が強く,この配列長が長さと転写活性に相関が認められ,繰り返しが長いものほど転写活性化能が増す傾向にあった.個人によりバリエーションが観察され,その長さと治療効果が関連性する傾向にあった.【結論】IL-28B周囲のSNPsでは,転写調整領域のTAリピート数はIL-28Bの発現量に影響した.臨床的意義について多検体で現在解析を進めている. |
索引用語 |
IL-28B, SNPs |